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スペインが衰退した理由 [その他]

 今朝のNHKラジオ「ラジオあさいちばん」の「時の話題」は、アンジェイ・ワイダ監督の作品『カチンの森』に寄せて作新学院大学総合政策学部教授の小林和男さんのお話でした。「歴史の真実とミサイル」という題でしたが、その中で印象に残ったのはドイツのアウシュヴィッツに対する姿勢と、旧ソ連のカチンの森事件に対する姿勢の違いです。ドイツでは学校でアウシュヴィッツを教えなければならないということになっているそうで、アウシュヴィッツを訪れるドイツ人も多いとのこと。対して旧ソ連~ロシアはカチンの森事件の真相解明には極めて消極的であるという話が印象的でした。

 これで思い出したのが『現代教育科学』2009年9月号(特集「教育基本法と教師の意識改革」)に掲載されていた山口県の小学校の先生の文章。ラス・カサスの『インディアスの破壊に関する簡潔な報告』がライバルのイギリスやオランダによるプロパガンダに利用され、結果スペイン人は自己嫌悪におちいり自国の悪口を言うようになったことから、スペインは衰退してしまった、という話です。(66~67㌻)

 その著作がスペイン批判に利用されたことから、ラス=カサスが、スペイン国内では国の名誉を失墜させた男という批判があるのは事実です。それに自分の国の悪口を言うべきではないという趣旨は理解できますが、自分の国の過去を語ることが「悪口」で、「悪口」を言われた国民は自国への誇りを失うとすれば、アウシュヴィッツのことを学校で教えることを強制しているドイツはなぜ経済大国なのでしょうか?

 16世紀に「覇権国家」として繁栄を誇ったスペインが、17世紀にオランダにとってかわられた理由は、世界史の教科書に書いてある通り。新大陸からもたらされた銀はプロテスタントやイスラーム勢力との戦争、宮廷費に浪費され、国内産業の育成をはじめとする国民の利益につながらなかったこと、さらに経済的に豊かなオランダが独立したことがあげられるでしょう。
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くま・てーとく

この記事の前後のチューダー家も気になったのですが、やはりスペイン語科出身としてはこの記事に興味を持ちました。
ラス=カサスは読んでいませんが…;
確かに、自国の悪口を言うようになったから衰退、というのはいささか乱暴な理屈では?
でも、悪口は確かにいかんと思います。
悪口というものは根拠のない悪意のバイアスがかかっているもので、そこには対象とするモノを貶める意図がこめられていますから。
…てか、悪口を言ったのは、国民と言うより、そのラス・カサス氏のようですね。
by くま・てーとく (2009-10-12 00:38) 

zep

ラス・カサスは、新大陸で先住民を虐殺するスペイン人を告発したスペイン出身のカトリック聖職者です。岩波文庫におさめられている『インディアスの破壊についての簡潔な報告』を読むと、あまりの内容に言葉を失うほどです。曰く「彼らは、誰が一太刀で体を真二つに斬れるかとか、誰が一撃のもとに首を断り落せるかとか、内臓を破裂させることができるかとか言って賭をした。彼らは母親から乳飲み子を奪い、モの子の足をつかんで岩に頭を叩きつけたりした。また、ある着たちは冷酷な笑みを浮べて、幼子を背後から川へ突き落し、水中に落ちる音を聞いて、「さあ、泳いでみな」と叫んだ。彼らはまたそのほかの幼子を母親もろとも突き殺したりした。こうして、彼らはその場に居合わせた入たち全員にそのような酷い仕打ちを加えた。


おっしゃるとおり「悪口というものは根拠のない悪意のバイアスがかかっているもので、そこには対象とするモノを貶める意図がこめられている」ものだと思います。彼の著作を読む限り、ラス=カサスは自国の「悪口」を言ったのではなく、残虐行為を批判しているのだと思います。しかし残念ながら、それが2000年度のセンター試験世界史B(本試験、第4問A)のリード文に書かれているように、「アメリカでのスペイン人の残虐行為を指摘したラス=カサスの著作が、著者の意図を離れて反スペイン宣伝のために出版されることがあった」ということです。


by zep (2009-10-12 10:19) 

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