昭和初期の旅行案内 [モノ教材(紙モノ)]
世界史の教科書のいちばん最初の特集「世界史の扉」は各社とも工夫をこらしており、興味深い特集も多いのですが、東書の「暦」と「地図」、帝国の「旅行」、それにこれらとも相通じる「時間と空間」をテーマにした山川特集などは、いずれも面白いテーマです。『100問100答 世界の歴史・ヨーロッパ』(河出書房新社)にのっている「シンデレラはどうやって12時を知ったのか」という話は、「時間」を扱う際に良いイントロダクションになることでしょう。元ネタになった角山栄先生の「シンデレラの時計」という文は、かつて中学校(2年生)の国語の教科書に載っていました。「世界史の扉」というと、『社会科授業力の開発~中学校・高等学校編』(明治図書)には、「『創られた伝統』とナショナルアイデンティティ」という「世界史の扉」で扱った授業が紹介されていますが、「世界史の扉」で扱うには少し難解な気がします。具体的な「モノ」をテーマにしたほうが生徒には親しみやすいのではないでしょうか。


ウチで使っている帝国『新詳世界史B』の「世界史のとびら」は「旅行の歴史」です。このページに写真が載っている「朝鮮総督府が発行した朝鮮半島のガイドブック」の実物です。Yahoo!オークションで1000円でした。ガイドブックというより、広げると1枚の広い地図になるパンフレットです。教科書に載っているのは昭和4年版で、右側は昭和7年版。「東京丸の内ビルヂィング一階・満鉄・東京鮮満案内所」のスタンプが押してあります。

その満鉄鮮満案内所が発行(編集は満鉄東京支社庶務課)した「鮮満支旅行手引書」と「旅順」の旅行案内。それぞれ昭和5年、昭和6年の発行です。当時の旅行運賃の他、「内地と異なる事情」の解説がなかなか興味深いです。


ウチで使っている帝国『新詳世界史B』の「世界史のとびら」は「旅行の歴史」です。このページに写真が載っている「朝鮮総督府が発行した朝鮮半島のガイドブック」の実物です。Yahoo!オークションで1000円でした。ガイドブックというより、広げると1枚の広い地図になるパンフレットです。教科書に載っているのは昭和4年版で、右側は昭和7年版。「東京丸の内ビルヂィング一階・満鉄・東京鮮満案内所」のスタンプが押してあります。

その満鉄鮮満案内所が発行(編集は満鉄東京支社庶務課)した「鮮満支旅行手引書」と「旅順」の旅行案内。それぞれ昭和5年、昭和6年の発行です。当時の旅行運賃の他、「内地と異なる事情」の解説がなかなか興味深いです。

シンデレラの時計―マイペースのすすめ (平凡社ライブラリー―offシリーズ (457))
- 作者: 角山 栄
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 2003/01
- メディア: 単行本

シンデレラの時計―人びとの暮らしと時間 (ポプラ・ノンフィクションBOOKS)
- 作者: 角山 栄
- 出版社/メーカー: ポプラ社
- 発売日: 1996/04
- メディア: 単行本
朝鮮総督府発行の絵はがき [モノ教材(紙モノ)]
ペタンの切手(フランス) [モノ教材(切手)]
テューダー家の切手(その5) [モノ教材(切手)]

£1コイン付きのFDC。消印は、幼少時のアン・ブーリンが住み、のちにアン・オヴ・クレーヴに与えられたヒーヴァー城(HEVER CASTLE)です。
テューダー家の切手(その4) [モノ教材(切手)]

前回紹介した97年発行の「ヘンリ8世と6人の妻」切手のFDC。ebayで£7.00(総支払い£8.95)、この日の為替レートで1385円の支払いでした。カバーはGBFDC(The Association of Great Britain First Day Cover Collectors)[http://www.gbfdc.co.uk/]が限定200枚でプロデュースしたもので、番号は114/200でした。消印はロンドンのタワーヒル局のものです。
テューダー家の切手(その3) [モノ教材(切手)]
スペインが衰退した理由 [その他]
今朝のNHKラジオ「ラジオあさいちばん」の「時の話題」は、アンジェイ・ワイダ監督の作品『カチンの森』に寄せて作新学院大学総合政策学部教授の小林和男さんのお話でした。「歴史の真実とミサイル」という題でしたが、その中で印象に残ったのはドイツのアウシュヴィッツに対する姿勢と、旧ソ連のカチンの森事件に対する姿勢の違いです。ドイツでは学校でアウシュヴィッツを教えなければならないということになっているそうで、アウシュヴィッツを訪れるドイツ人も多いとのこと。対して旧ソ連~ロシアはカチンの森事件の真相解明には極めて消極的であるという話が印象的でした。
これで思い出したのが『現代教育科学』2009年9月号(特集「教育基本法と教師の意識改革」)に掲載されていた山口県の小学校の先生の文章。ラス・カサスの『インディアスの破壊に関する簡潔な報告』がライバルのイギリスやオランダによるプロパガンダに利用され、結果スペイン人は自己嫌悪におちいり自国の悪口を言うようになったことから、スペインは衰退してしまった、という話です。(66~67㌻)
その著作がスペイン批判に利用されたことから、ラス=カサスが、スペイン国内では国の名誉を失墜させた男という批判があるのは事実です。それに自分の国の悪口を言うべきではないという趣旨は理解できますが、自分の国の過去を語ることが「悪口」で、「悪口」を言われた国民は自国への誇りを失うとすれば、アウシュヴィッツのことを学校で教えることを強制しているドイツはなぜ経済大国なのでしょうか?
16世紀に「覇権国家」として繁栄を誇ったスペインが、17世紀にオランダにとってかわられた理由は、世界史の教科書に書いてある通り。新大陸からもたらされた銀はプロテスタントやイスラーム勢力との戦争、宮廷費に浪費され、国内産業の育成をはじめとする国民の利益につながらなかったこと、さらに経済的に豊かなオランダが独立したことがあげられるでしょう。
これで思い出したのが『現代教育科学』2009年9月号(特集「教育基本法と教師の意識改革」)に掲載されていた山口県の小学校の先生の文章。ラス・カサスの『インディアスの破壊に関する簡潔な報告』がライバルのイギリスやオランダによるプロパガンダに利用され、結果スペイン人は自己嫌悪におちいり自国の悪口を言うようになったことから、スペインは衰退してしまった、という話です。(66~67㌻)
その著作がスペイン批判に利用されたことから、ラス=カサスが、スペイン国内では国の名誉を失墜させた男という批判があるのは事実です。それに自分の国の悪口を言うべきではないという趣旨は理解できますが、自分の国の過去を語ることが「悪口」で、「悪口」を言われた国民は自国への誇りを失うとすれば、アウシュヴィッツのことを学校で教えることを強制しているドイツはなぜ経済大国なのでしょうか?
16世紀に「覇権国家」として繁栄を誇ったスペインが、17世紀にオランダにとってかわられた理由は、世界史の教科書に書いてある通り。新大陸からもたらされた銀はプロテスタントやイスラーム勢力との戦争、宮廷費に浪費され、国内産業の育成をはじめとする国民の利益につながらなかったこと、さらに経済的に豊かなオランダが独立したことがあげられるでしょう。
テューダー家の切手(その2) [モノ教材(切手)]
テューダー家の切手 [モノ教材(切手)]
園木末喜のこと [授業ネタ]
熊本学園大学で開かれた、「安重根と熊本を考えるシンポジューム」に行ってきました。安重根と熊本にどんな関係が?
話はわが菊池市(現菊池市七城町.....天才バカボンのパパの出身地!)と大いに関係があり、旅順監獄で安重根の通訳をつとめた人は七城町の出身だったとこのと。園木末喜という方です。かなり詳しい裁判関係の記録が残っているのは、園木の功績が大なのは言うまでもないでしょう。彼は通訳のため、当時の世界情勢をかなり詳しく勉強したようで、熊本が誇っていい人物だと思います。『教科書が教えない歴史』(扶桑社)には安重根と千葉十七という憲兵の友情が語られていますが、通訳だった園木のことも忘れてはならないと思います。
安重根が園木に贈った書は極めて興味深いものでした。「日韓友誼善作紹介」という書で、「贈園木先生 庚戌二月 於旅順獄中大韓国人安重根謹拝」とあります。当時、安重根30歳、園木末喜26歳。安重根をして、4歳も年下の日本人に、「先生」「謹拝」そして「(韓日ではなく)日韓」と書かしめた園木末喜とは、いったいどういう人だったのでしょうか。『教科書が教えない歴史』で述べられている安重根の人となりを読むと、園木について知りたいという思いはより強くなります。(出典がまったく明記されていないことは、『教科書が教えない歴史』の難点です。)
安重根が贈った書は、園木末喜のお子さんが昭和61年に韓国へ寄贈されたとこのと。今日のシンポジウムによれば、お孫さんが東京に在住だそうですが、園木自身については今ひとつその実像がはっきりしませんでした。七城町には現在でも園木姓は多くおられます。今後、ぜひ調べてみたい人物です。
話はわが菊池市(現菊池市七城町.....天才バカボンのパパの出身地!)と大いに関係があり、旅順監獄で安重根の通訳をつとめた人は七城町の出身だったとこのと。園木末喜という方です。かなり詳しい裁判関係の記録が残っているのは、園木の功績が大なのは言うまでもないでしょう。彼は通訳のため、当時の世界情勢をかなり詳しく勉強したようで、熊本が誇っていい人物だと思います。『教科書が教えない歴史』(扶桑社)には安重根と千葉十七という憲兵の友情が語られていますが、通訳だった園木のことも忘れてはならないと思います。
安重根が園木に贈った書は極めて興味深いものでした。「日韓友誼善作紹介」という書で、「贈園木先生 庚戌二月 於旅順獄中大韓国人安重根謹拝」とあります。当時、安重根30歳、園木末喜26歳。安重根をして、4歳も年下の日本人に、「先生」「謹拝」そして「(韓日ではなく)日韓」と書かしめた園木末喜とは、いったいどういう人だったのでしょうか。『教科書が教えない歴史』で述べられている安重根の人となりを読むと、園木について知りたいという思いはより強くなります。(出典がまったく明記されていないことは、『教科書が教えない歴史』の難点です。)
安重根が贈った書は、園木末喜のお子さんが昭和61年に韓国へ寄贈されたとこのと。今日のシンポジウムによれば、お孫さんが東京に在住だそうですが、園木自身については今ひとつその実像がはっきりしませんでした。七城町には現在でも園木姓は多くおられます。今後、ぜひ調べてみたい人物です。
『社会科教育』2009年9月号(No.605) [授業研究・分析]
今月の特集は「子どもをゆさぶる"教材・教具・モノ"便覧」。色々と面白いものが紹介されていますが、中でもぜひ欲しいと思ったのが、「琉球国王印」のレプリカ。漢字と満州文字が併記されており、沖縄県立博物館で販売されているそうです。沖縄旅行をする方にぜひお土産に買ってきて欲しいモノです。
一つ気になる記事がありました。
問1 日本にキリスト教を伝えたフランシスコ・ザビエルは何人か。次の中から選べ。
ア フランス イ ドイツ ウ スペイン エ バスク オ ポルトガル
正解はウとエということです。領土・民族問題を教えるためとはいえ、この問い方はあんまりでしょう。雑誌の性格上中学生を念頭に置いた問いだと思いますが、答える前に「バスクってどこにある国?聞いたこと無いよ!」って声が聞こえてきそうです。
ザビエルが生きた時代にドイツという国があったかどうかという議論はさておき、バスク以外の選択肢は、現在主権国家として国際的にも認知されている国ばかり。この並列はフェアではありません。バスクという言葉を選択肢にいれるなら、他は「バイエルン」「ブルターニュ」などといった選択肢になるはず。地域名や民族名として使われるバスクを、「現在の国名」というまったくレベルの違う言葉の中に混ぜるというのは、あまりよい方法だとは思いません。
この本の今月の特集に即した教材というなら、大学の授業で見せてもらったバスク地方のホテルの案内(スペイン語だけでなくバスク語でも表記されている)や、道路標識の写真なんかがいいと思います。
一つ気になる記事がありました。
問1 日本にキリスト教を伝えたフランシスコ・ザビエルは何人か。次の中から選べ。
ア フランス イ ドイツ ウ スペイン エ バスク オ ポルトガル
正解はウとエということです。領土・民族問題を教えるためとはいえ、この問い方はあんまりでしょう。雑誌の性格上中学生を念頭に置いた問いだと思いますが、答える前に「バスクってどこにある国?聞いたこと無いよ!」って声が聞こえてきそうです。
ザビエルが生きた時代にドイツという国があったかどうかという議論はさておき、バスク以外の選択肢は、現在主権国家として国際的にも認知されている国ばかり。この並列はフェアではありません。バスクという言葉を選択肢にいれるなら、他は「バイエルン」「ブルターニュ」などといった選択肢になるはず。地域名や民族名として使われるバスクを、「現在の国名」というまったくレベルの違う言葉の中に混ぜるというのは、あまりよい方法だとは思いません。
この本の今月の特集に即した教材というなら、大学の授業で見せてもらったバスク地方のホテルの案内(スペイン語だけでなくバスク語でも表記されている)や、道路標識の写真なんかがいいと思います。
唐から清に至るまでの徴税・労役制度の変遷(筑波大、2006年) [大学受験]
中国史上の唐から清に至るまでの徴税・労役制度について,以下の語句を用いてどのような変遷が見られたかをまとめなさい。
今日生徒がもってきた答案は、「徴税制度の変遷」については書けていましたが、「労役制度」の言及が不十分でした。現在では「国家によって強制される労働」というのがないので、ピンとこないかもしれません。
労役というのは労働奉仕のことで、(誰に対する奉仕か、何をするかなど差異はありますが)形態だけみれば西ヨーロッパ中世の荘園制度における賦役に近いものがあります。唐代の租庸調の庸(中央政府関係の労働)や雑徭(地方での労働)はこの労役なので、唐代については租庸調だけでなく雑徭にも触れなければなりません。
均田制では「一人あたりの土地の面積はみな同じ」はずですから、租庸調制は「成年男子一人ひとりに対して一律均等の課税」でした。しかし両税法になると、「家(戸)ごとに財産に応じた課税」になります。そこで職役とよばれる労役(たとえば物資の運搬など)が個人ではなく、戸単位で割り当てられるようになりますが、この負担も農民にとって極めて重いものでした。そこで宋の王安石は、こうした労役の負担を軽減するために募役法を制定したのです。差役などに触れる必要はありませんが、「労役制度について」問われているのですから、「宋代には農民の労役負担を軽減するため、王安石が募役法を制定した」くらいは、王安石の募役法に触れておくべきでしょう。
さらに明では、両税法のもとでも成年男子に労役を課すため、賦役黄冊がつくられます、戸籍を作成し、各戸における丁男を捕捉するためです。一条鞭法では労役も銀に換算されたため、この時点で労役はなくなりますが、人頭税という形で残りました。これがなくなるのが、清代の地丁銀です。
この問題では、徴税方法変化だけでなく、租庸調→両税法、両税法→一条鞭法という変遷の背景や、1994年に千葉大で出題された問題のように、課税の原則の変化にも触れることができれば、もっとよいと思います。
唐代末期に楊炎の提言を受けて導入された新たな徴税制度は、それ以前の税体系とは異なる課税原則に基づいて行われた。税体系の変化は、国家が課税対象としての人、及びその保有する富をどのように捕捉するか、といった方法論の変化でもあり、国家支配の原理的側面の変化を示す指標であるとも考えられよう。唐代末期以降に出現した新たな税体系は、その課税原則・徴税方法においてどのような国家支配の変質を反映するものであったか。以上の二点について、その税法の名称とともに三百字以内で述べなさい。 (千葉大・1994)
両税法 魚鱗図冊 地丁銀 租庸調 一条鞭法
今日生徒がもってきた答案は、「徴税制度の変遷」については書けていましたが、「労役制度」の言及が不十分でした。現在では「国家によって強制される労働」というのがないので、ピンとこないかもしれません。
労役というのは労働奉仕のことで、(誰に対する奉仕か、何をするかなど差異はありますが)形態だけみれば西ヨーロッパ中世の荘園制度における賦役に近いものがあります。唐代の租庸調の庸(中央政府関係の労働)や雑徭(地方での労働)はこの労役なので、唐代については租庸調だけでなく雑徭にも触れなければなりません。
均田制では「一人あたりの土地の面積はみな同じ」はずですから、租庸調制は「成年男子一人ひとりに対して一律均等の課税」でした。しかし両税法になると、「家(戸)ごとに財産に応じた課税」になります。そこで職役とよばれる労役(たとえば物資の運搬など)が個人ではなく、戸単位で割り当てられるようになりますが、この負担も農民にとって極めて重いものでした。そこで宋の王安石は、こうした労役の負担を軽減するために募役法を制定したのです。差役などに触れる必要はありませんが、「労役制度について」問われているのですから、「宋代には農民の労役負担を軽減するため、王安石が募役法を制定した」くらいは、王安石の募役法に触れておくべきでしょう。
さらに明では、両税法のもとでも成年男子に労役を課すため、賦役黄冊がつくられます、戸籍を作成し、各戸における丁男を捕捉するためです。一条鞭法では労役も銀に換算されたため、この時点で労役はなくなりますが、人頭税という形で残りました。これがなくなるのが、清代の地丁銀です。
この問題では、徴税方法変化だけでなく、租庸調→両税法、両税法→一条鞭法という変遷の背景や、1994年に千葉大で出題された問題のように、課税の原則の変化にも触れることができれば、もっとよいと思います。
唐代末期に楊炎の提言を受けて導入された新たな徴税制度は、それ以前の税体系とは異なる課税原則に基づいて行われた。税体系の変化は、国家が課税対象としての人、及びその保有する富をどのように捕捉するか、といった方法論の変化でもあり、国家支配の原理的側面の変化を示す指標であるとも考えられよう。唐代末期以降に出現した新たな税体系は、その課税原則・徴税方法においてどのような国家支配の変質を反映するものであったか。以上の二点について、その税法の名称とともに三百字以内で述べなさい。 (千葉大・1994)
三国志のフィギュア [モノ教材(フィギュア)]
『レッドクリフ Part1 & 2』(ジョン・ウー監督、2008-2009年、中国) [歴史映画]

話題となった『レッドクリフ』を「PartI&II スペシャル・ツインパック」のDVDで購入(子どもたちは劇場に見に行ったものの、私は一緒に行けなかったので)。特典は武将キューピー11体セットです。大スケールのエンターティメント作品として十分楽しめる作品でした。「莫大な制作費をかけた大作」「配給がエイベックス」という「売れ線狙いが感じられる作品」ということで、ケチをつけたくなることもあるでしょうが、まぁいいじゃないですか。素直に楽しみましょうよ。
Part1では阿斗を助ける趙雲の活躍、Part2では大スケールの戦闘シーンと周瑜の智将ぶりが印象的。ジョン・ウー監督お約束の、白い鳩や「向かい合う2人」をはじめ、スローモーションを多様したアクションも多用されています。周瑜を演じたのはトニー・レオンですが、今ひとつ影が薄かった『英雄 HERO』の残剣よりも、知的で人間味あふれるこの作品の演技は光っています。ミステリアスで何考えているかよく分からない孔明より、見ていて感情移入できますね。口の端を上げて微笑む笑顔がいい!所々で感じられるユーモラスな描写も、イイ感じでした。脇役ながら、魏軍の実直な兵士叔財も魅力的。
「赤壁の戦い=船による水上戦」というイメージだったのですが、陸上戦も重要だったというのは確かにそうでしょう。『三国志』を知らなくても十分楽しめますが、登場人物が「どんな人物か」を知っておくと、より楽しめるでしょう。
![レッドクリフ PartⅠ&Ⅱ スペシャル・ツインパック [DVD] レッドクリフ PartⅠ&Ⅱ スペシャル・ツインパック [DVD]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51ac788np8L._SL160_.jpg)
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- 出版社/メーカー: エイベックス・マーケティング
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ジャック・カロ 「戦争の惨禍」 [授業ネタ]
熊本県立美術館に行ってきました。夏休み特集の「ヒーロー&ヒロイン大集合」も企画展として面白かったですが、興味深かったのは同時開催の「西洋版画大集合」の方です。メインのデューラー「メランコリア」もさることながら、意外にもジャック・カロの「戦争の惨禍」(「戦争の悲惨と不幸」、連作)が展示されていました。世界史の資料集には、三十年戦争の項目でこの作品の一部が必ずといっていいほど掲載されていますが、これが連作とは知りませんでした。サイズが小さかった(8センチ×18センチくらい)のも意外でした。この小さなサイズに繊細な線の描写、脱帽です。公開で刑罰を与えていると思われる情景もありましたが、どういうシーンなのか説明書きが一切無かったのは実に残念でした。カロはロレーヌの貴族の出身だったようです。
版画というと小学校の図工の時間や浮世絵版画くらいしか思い浮かばない私にとって、西洋版画の技術的変遷は実に興味深いものでした。デューラーのエングレーヴィングやカロのエッチングと、アンディ・ウォーホールのシルクスクリーンやロイ・リキテンシュタインのリトグラフなどを比較すると、そのあまりの違いに驚かされます。
版画というと小学校の図工の時間や浮世絵版画くらいしか思い浮かばない私にとって、西洋版画の技術的変遷は実に興味深いものでした。デューラーのエングレーヴィングやカロのエッチングと、アンディ・ウォーホールのシルクスクリーンやロイ・リキテンシュタインのリトグラフなどを比較すると、そのあまりの違いに驚かされます。
シュメールの戦車 [プラモデル]
Kingdom of Heaven - The Director's Cut (Four-Disc Special Edition) [歴史映画]

リドリー・スコット監督の名作『キングダム・オブ・ヘブン』の「ディレクターズ・カット3枚組」は、日本盤が3枚組なのに対しアメリカ盤は4枚組です。日本盤3組は、「ディレクターズ・カット2枚組」に「劇場公開版2枚組」の特典映像ディスクをつけた中途半端な内容。ということで、リージョン1ではありますが、アメリカ盤4枚組を購入しました。アマソンUSのマーケットプレイスで$18.93でした。 日本円での支払金額は、商品本体がJPY 1,857とShipping & HandlingがJPY 1,205の合計JPY 3,062でした。1800円の商品に1200円の送料というのもどうかとは思いましたが、まぁ満足しています。
映画というと、先日子どもと一緒に「仮面ライダーディケイド」の映画を見に行ってきました(本当は「G.I.ジョー」が見たかった)。内容的にはイカデビルや地獄大使、キングダークなどオヤジ世代が喜びそうなもの。V3のかけ声が、「ブイスリー」ではなく、お約束の「ブイスリャーッ」だったのにはこだわりが感じられました。それにGakutの結城丈二(実は京大出身)は鬼気迫るものがあり、なかなか良かったです。ライダーマンの変身が、マスクをかぶるものから右腕を外すものになってましたが、変身時の苦しそうな感じがまたよかったと思います。帰りにトイザらスに寄ったところ、クリアランスセールをやっていて、「パイレーツ・オブ・カリビアン」のウィル・ターナー(オーランド・ブルーム)のフィギュアが500円だったので、即買い。
九歴教大分大会 無事終了 [その他]
大分県は別府市で開催された九州高等学校歴史教育研究協議会も無事に終了しました。私の発表はともかく、これまで色々とお世話になっていた他県の世界史の先生方とまたお会いできて、たいへんうれしいことでした。実行委員長の先生はじめ、開催に尽力いただいた大分県の先生方、本当にありがとうございました。
5日に行われた地域調査は実に興味深いものでした。大分県立歴史博物館[http://rekisihakubutukan-b.oita-ed.jp/]~天念寺~冨貴寺大堂~真木大堂というコースでしたが、同行していただいた歴史博物館の学芸員さんが実に博識で話も面白く、「熊本大会のときにはぜひゲストで呼びたい」という声があがったほど。本当に勉強になりました。冨貴寺大堂(国宝)を見学するときには、その前にぜひ歴史博物館で再現されている原寸大レプリカを見て予習しておくことをオススメします。

大分駅の工事現場から出土した大友氏関係の鉄製遺物(歴史博物館)
5日に行われた地域調査は実に興味深いものでした。大分県立歴史博物館[http://rekisihakubutukan-b.oita-ed.jp/]~天念寺~冨貴寺大堂~真木大堂というコースでしたが、同行していただいた歴史博物館の学芸員さんが実に博識で話も面白く、「熊本大会のときにはぜひゲストで呼びたい」という声があがったほど。本当に勉強になりました。冨貴寺大堂(国宝)を見学するときには、その前にぜひ歴史博物館で再現されている原寸大レプリカを見て予習しておくことをオススメします。

大分駅の工事現場から出土した大友氏関係の鉄製遺物(歴史博物館)

エアーブラシで遺物に付着した泥その他を落としている様子( 〃 )

天念寺の川中不動

天念寺裏の山にある「無明の橋」[http://www.yado.co.jp/hasi/ooita/T_mumyoubasi/index.htm]

神仏習合がよくわかる(天念寺)
一向一揆と百姓一揆 [プラモデル]

ネットで見つけた「一向一揆」と「百姓一揆」のプラモデル。試しに買ってみたところ、プラモデルというよりも小さな人形でした。スケールは1/72で、ハセガワとかのプラモのスケールです。12種類48体入り。メーカーはREDBOX[http://theredbox.com.ua/]というウクライナのメーカー。メーカーのホームページを見ると、「こんなものまで」というものが発売されています。サイズが小さいだけに、彩色してジオラマでもつくれば日本史の授業に使えるでしょうが、残念ながらそこまでの技術は私にはありません。

日食 [授業ネタ]
今日は日食でした。私の学校ではすべてのクラスで課外を中断し、中庭で見学。幸い?曇り空で、グラスが無くても欠け具合がよく見えたため、くっきりと三日月型が浮かび上がると生徒たちからは歓声があがっていました[http://www.higo.ed.jp/sh/kitash/now/diary/diary21/2009-7gatu/7gatu.html]。
私はアマゾンで購入した観測グラスを持参したのですが、これがなかなかのもので、とてもくっきりと日食が観測できました。
ヘロドトスの『歴史』には、ギリシアの自然哲学者タレスが日食を予言したことが記されています(巻一、74:岩波文庫版では上巻の61㌻)。ヘロドトスによれば、これはリディアとメディアが戦っていたときのことで、この日食を不吉に思った両国は和平に至ったということです。紀元前585年5月28日のことです。
ある夜タレスは天文の観察に夢中になってしまい、溝にはまりこんでしまいました。それを見ていた女性から、学者というものは遠い星の事はわかっても自分の足元の事はわからないのか、と笑われたそうです。勉強に夢中になり、自分の指をかじってしまった王安石のようです。
タレスは貧乏だったので、哲学など何の役にも立たないではないか、とバカにされてしまいます。そこで彼は次のオリーブの収穫が豊作であろうことを天文学から予測し、まだ収穫前の冬の間にミレトス一帯の全てのオリーブの圧搾機械を借り占めておきました。予想通りオリーブは大豊作で、タレスは大もうけしました。このときタレスは、自分が望めば金持ちになれるが、そのようなことは関心がないにないと言ったとのこと。素晴らしい。
私はアマゾンで購入した観測グラスを持参したのですが、これがなかなかのもので、とてもくっきりと日食が観測できました。
ヘロドトスの『歴史』には、ギリシアの自然哲学者タレスが日食を予言したことが記されています(巻一、74:岩波文庫版では上巻の61㌻)。ヘロドトスによれば、これはリディアとメディアが戦っていたときのことで、この日食を不吉に思った両国は和平に至ったということです。紀元前585年5月28日のことです。
ある夜タレスは天文の観察に夢中になってしまい、溝にはまりこんでしまいました。それを見ていた女性から、学者というものは遠い星の事はわかっても自分の足元の事はわからないのか、と笑われたそうです。勉強に夢中になり、自分の指をかじってしまった王安石のようです。
タレスは貧乏だったので、哲学など何の役にも立たないではないか、とバカにされてしまいます。そこで彼は次のオリーブの収穫が豊作であろうことを天文学から予測し、まだ収穫前の冬の間にミレトス一帯の全てのオリーブの圧搾機械を借り占めておきました。予想通りオリーブは大豊作で、タレスは大もうけしました。このときタレスは、自分が望めば金持ちになれるが、そのようなことは関心がないにないと言ったとのこと。素晴らしい。
古代ギリシアの軍船 [プラモデル]
昔の歴史の教科書 [モノ教材(その他)]

Yahoo!のオークションに昔の歴史の教科書がセットで出ていたので、買ってみました。全部で1800円。セットの内容は以下の通りです。
・八代國治著『新軆日本歴史』(冨山房) 大正12年1月27日訂正再版発行
・下村三四吉編纂『女學校用 本邦歴史 上級用』(目黒書店・成美堂合梓)
大正5年12月25日四版発行
・沼田賴輔篇『訂正 中等日本歴史 巻下』(明治書院)
明治39年2月17日十二版発行
・藤田明著『改訂 中等日本歴史 上巻』(寶文館)
明治45年1月15日訂正四版発行
・富士德治郎著『女子 日本史教科書 訂正下巻』(目黒書店)
大正5年8月20日訂正四版発行
・小川銀次郎編『女子 新定東洋史』(六盟館) 大正5年2月5日訂正発行
・箕作元八編纂・大類伸補訂『女子教育 西洋史教科書』(東京開成館)
大正11年1月14日訂正九版発行
・棚橋一郎『万国大年表』(三省堂) 明治34年5月20日九版発行
『万国大年表』以外は、文部省検定済教科書。『東洋史』は和綴じ本。女学校用の教科書には、「ナポレオン1世の母をレチチヤといふ。美にして賢なり。最も精力に富み、難局に当たりて屈せず....」など、良妻賢母のモデル的な人物が紹介されています。『西洋史』の始まりは、古代オリエントになっています。東洋史の多くは中国史ですが、インドについても記述があり、アクバルの墓石の写真なども載っています。西洋史・東洋史ともに、現在高校で使用されている世界史の教科書と比べて、解釈が全く異なるという点はなく、かなり高度な内容だと感じます。
一昨日から課外が始まりました。去年つくった「世界史虎の巻」ですが、この春卒業したKさんがたくさんの面白いアイディアを出してくれて、かなり内容も充実しました。つくった最初は、年号暗記だけでしたが、現在ではかなり役立つものになったと思います。内容の半分以上は、3月まで勤務していた学校の卒業生諸君が、後輩のために提供してくれたアイディアでつくったものなので、前の学校の生徒諸君にもぜひあげたいのですが....
ナポレオン1世のフィギュア [モノ教材(フィギュア)]


ナポレオンの12インチフィギュアです。以前紹介したユリウス・カエサルの12インチフィギュア[http://zep.blog.so-net.ne.jp/2008-06-01]をリリースしたイグナイト(IGNITE)と、歴史モノには定評があるアンドレア・ミニチュア[http://www.andrea-miniatures.com/]とのコラボ商品。本体価格49.99ユーロで、送料は12.95ユーロでした。
ベラスケス「白い服のマルガリータ」 [モノ教材(紙モノ)]
帝国書院の世界史資料集『タペストリー』の「17・18世紀の文化」のページには、ベラスケスの代表作「官女たち(宮廷の侍女たち)」が掲載されています。
この絵は鏡に映っているスペイン国王フェリペ4世夫妻の肖像を描いているときに、王女マルガリータ(当時5歳くらい)がはいってきてだだをこねているという様子を描いたものです。しかし、話としてはマルガリータ王女の肖像画を描いているときに退屈した彼女がむずがっているという方が面白いでしょう。私も「定説ではないが」ということでマルガリータモデル説を授業では話しています。そこで使うのが、この「白い服のマルガリータ」。大きさは 46 x 61 cm。なだめすかして完成したのがこの絵だよ、というワケです。
これを使えば当時画家がおかれていた立場=単なる職人という点を説明できます。ベラスケスが弱冠二十四歳で宮廷画家となったとき、彼の月給は20ドゥカート。理髪師の月給と同じだったそうです。
「官女たち」はスペインにありますが、「白い服のマルガリータ」はウィーンにあります。ウィーンにはベラスケスがマルガリータを描いた「バラ色の服」(2~3歳)、「青い服」(8歳くらい)の合計三枚のマルガリータの絵があります。マルガリータは神聖ローマ皇帝レオポルド1世妃としてスペイン=ハプスブルク家からオーストリア=ハプスブルク家へ輿入れすることになっていたからで、3枚の絵はお見合写真のかわりということです。今でこそ絵も写真もアートなのですが、当時は実用的な側面の方が強かったのでしょう。イングランド王ヘンリ8世は、4番目の妃アン・オブ・クレーヴズの肖像画(ホルバインが描いた)が実物とあまりに違っていたため、初めて彼女を見たとき激怒したというエピソードが残っています。
主権国家体制のもと、ハプスブルク家はスペイン系とオーストリア系に分かれますが、婚姻を通じて深く結びついていたようです。マルガリータは15歳でレオポルド1世のもとへ嫁ぎ、仲むつまじかったそうですが、二人の間に生まれた子は一人をのぞいていずれも夭折しています。マルガリータ自身も21歳のときに気管支炎が原因で痰がのどに詰まり亡くなっています。
この絵のベラスケスは、胸にサンチャゴ騎士団の紋章である赤い十字が描かれています。ベラスケスが同騎士団の団員となるのはこの絵が描かれた1656年から3年も後なので、後から書き加えられたのは確かです。バロック時代になると、それまでの「絵描き」は「アーティスト」としてその社会的地位は大きく向上したと言えるでしょう。
嫌われても世界史はやめない [たんなる日記]
「世界史って嫌われてるなぁ」と感じるのは、「2年生で全員世界史を学んだのに、3年生で継続履修を選択した生徒があまりに少ない(今の勤務校では3年生360人中で世界史選択者は90名くらい)」、また「定期テストのクラス平均が100点満点で30点を切った」という時です。世界史が嫌いでないなら、少々きつくても勉強しようと思うでしょうから。
今年の3月まで勤務した学校では、2月に生徒による授業評価が行われましたが、私の授業を受けている生徒諸君(当時2年生)の、私に対する評価はかなり高いものでした(それはとても嬉しかったです)。質問11項目のうち、「次の授業が待ち遠しい」「先生の説明は、ポイントが明確で分かりやすい」「先生の授業は知的好奇心をくすぐる」の3項目は「よく当てはまる」(100)~「全くあてはまらない」(20)の4段階評価ですべて平均を10ポイント以上、上回っていました。逆に平均より10ポイント以上低かったのは「課題にしっかり取り組んでいる」「授業前の予習を欠かさない」「復習にしっかり取り組んでいる」「授業に集中できている」といった項目です。
このことから世界史の選択者が少ないor世界史を勉強しない生徒が多いのは、私のパーソナリティや授業が嫌われているのではなく、教科として嫌われているからだと判断せざるをえません。今年高校を卒業したサッカー部のある生徒は、「世界史は話だけ聞くと面白いけど、勉強しようとは思わない」と言っていました。
ところで、「嫌われても世界史はやめない」と表紙に書かれたある本のまえがきには、「受験科目にあろうとなかろうと、高校生に必要な知識やリテラシーであれば、きちんと指導し評価するのが教員や学校の務めではないか。」とありました。まったくその通りです。しかし「現在の高校世界史の内容と世界史教育の「方法」が、高校生に必要な知識やリテラシーとなっているのか」を考えたとき、その正論も私には空虚に聞こえるばかりです。
そもそも当該の本で扱われている内容のほとんどは、「余談だが.....」という前置きで多くの世界史教師が授業で話していることにすぎません。つまり「脱線話」として授業で扱われていることを「メインテーマ」にしてみてはどうかという話にすぎないと私は解釈しています。高校における世界史の授業が崩壊せずになんとかやっていけてるのは、入試科目として残っていることと、現場の教師の地道な努力によるところが大きいのではないでしょうか。
今年の3月まで勤務した学校では、2月に生徒による授業評価が行われましたが、私の授業を受けている生徒諸君(当時2年生)の、私に対する評価はかなり高いものでした(それはとても嬉しかったです)。質問11項目のうち、「次の授業が待ち遠しい」「先生の説明は、ポイントが明確で分かりやすい」「先生の授業は知的好奇心をくすぐる」の3項目は「よく当てはまる」(100)~「全くあてはまらない」(20)の4段階評価ですべて平均を10ポイント以上、上回っていました。逆に平均より10ポイント以上低かったのは「課題にしっかり取り組んでいる」「授業前の予習を欠かさない」「復習にしっかり取り組んでいる」「授業に集中できている」といった項目です。
このことから世界史の選択者が少ないor世界史を勉強しない生徒が多いのは、私のパーソナリティや授業が嫌われているのではなく、教科として嫌われているからだと判断せざるをえません。今年高校を卒業したサッカー部のある生徒は、「世界史は話だけ聞くと面白いけど、勉強しようとは思わない」と言っていました。
ところで、「嫌われても世界史はやめない」と表紙に書かれたある本のまえがきには、「受験科目にあろうとなかろうと、高校生に必要な知識やリテラシーであれば、きちんと指導し評価するのが教員や学校の務めではないか。」とありました。まったくその通りです。しかし「現在の高校世界史の内容と世界史教育の「方法」が、高校生に必要な知識やリテラシーとなっているのか」を考えたとき、その正論も私には空虚に聞こえるばかりです。
そもそも当該の本で扱われている内容のほとんどは、「余談だが.....」という前置きで多くの世界史教師が授業で話していることにすぎません。つまり「脱線話」として授業で扱われていることを「メインテーマ」にしてみてはどうかという話にすぎないと私は解釈しています。高校における世界史の授業が崩壊せずになんとかやっていけてるのは、入試科目として残っていることと、現場の教師の地道な努力によるところが大きいのではないでしょうか。
「苦役への道は世界史教師の善意でしきつめられている」 [その他]
高校の世界史教師(特に進学校の)の多くが感じていながら、恐くて口に出せなかったことがある。それを口に出してしまったが最後、今自らが行っている授業を自己否定することにつながってしまうからである。しかし昨日、それを真正面から言語化した文章を目にしてしまった。
タイトルは「苦役への道は世界史教師の善意でしきつめられている」というもので、筆者は小川幸司先生。長野県で世界史を教えられている方のようだ。読んだのは、昨日行われた歴史学研究会の特設部会「社会科世界史60年」での報告文章である[http://wwwsoc.nii.ac.jp/rekiken/annual_meetings/index.html]。この場合「苦役」とは「暗記地獄」を指しているが、似たような意味で、一昨年日本西洋史学会の折りに、ある先生は「世界史教師の博識は生徒の負担につながる」という言葉を口に出された。小川先生は、「善意」という言葉を使い、問題の深刻さをより強く示されているように思う。また「すべての道はローマに通ず」的で、なかなかシニカルでもある。
核心的な指摘の部分を引用させていただこう。
「今や、私たちは、はっきりと認識すべきなのである。高校世界史は、高校生からも社会人一般からも“嫌われている”科目であり、その意義に共感してもらうことに“失敗”してきた科目なのだということを。
私たちは、こう自問自答すべきなのだ。現代において世界史を学ぶことは必要だろうけれども、今の世界史教育の「方法」は高校生の学びにとって相応しいものなのだろうか、と。この自己検証を怠ってきたがゆえに、世界史を学ぶ意義までもが侵食されてしまったのではないだろうか。」
昨年宮崎大学で開かれた研究大会の折に私は報告を行ったが、その時の課題テーマは「転換期における歴史授業の実践的課題を探る」というもので(「高校世界史は、高校生からも社会人一般からも“嫌われている”科目であり、その意義に共感してもらうことに“失敗”してきた科目なのだということを認識すべき時がきた」という意味で、現在は転換期と言えるかもしれない)、私は教育学会という「理想を求める」場で、高校の教室という「現実的な場」ではどういう授業が行われているかを話してみた。様々な意見をもらったが、私と大学の先生方とは問題意識が違うようで、議論がかみ合ったとは思えない。このときのレジュメは[pdf" target="_blank">http://www005.upp.so-net.ne.jp/zep/sekaisi/jyugyou/zensyagaku2008.pdf]であるが、この「はじめに」で婉曲的に書いているように、私の問題意識が「嫌われている世界史を好きにさせるにはどうすればいいか」というものだったのに対し、大学の先生方は「何をどう教えれば、理想の人間として成長できるのか」という点に問題意識があったように思う。なかでも某出版社の歴史教育関係の本に掲載されていた内容を使った「日露戦争は侵略戦争か否か」というテーマの話を授業でやるのは不適切だ、という意見をいただいたが、「授業で何をすべきか」という点で、私と大学の先生方とは問題意識が違うように思われる。高校の世界史教師向けの研修会で、大学の歴史教育関係の先生を招くよりも、予備校の名物講師を招く方がより現実的な研修会となるのは、(少なくとも進学校の教師にとっては)自然かもしれない。そもそも、学会や学会誌で発表されているような授業が現場で実際に行われてきたとはいえない。大学の先生、生徒、そして保護者が求める「よい授業」はそれぞれに異なる。現場の教師が、直接の消費者である生徒や保護者のニーズを最優先して「理想的な授業」よりも「大学受験を念頭に置いた暗記中心の授業」をやってきたのは当然と言えば当然だろう。
以前『世界史をどう教えるか』(山川出版社)を読んだときに感じた「しっくりこない感じ」を、私は明確に説明することができなかった[http://zep.blog.so-net.ne.jp/2008-06-15]。だがこの論文ではそのことも明快に指摘されている。
では一体高校における世界史の授業は、どう変えていくべきなのか。残念ながら、今の私には旧来の授業スタイルにとって変わるべき対案があるわけではない。ただ「なんとかせねば」という気持ちは持っているつもりだ。授業ネタ集めはその一つの方法なのである。
タイトルは「苦役への道は世界史教師の善意でしきつめられている」というもので、筆者は小川幸司先生。長野県で世界史を教えられている方のようだ。読んだのは、昨日行われた歴史学研究会の特設部会「社会科世界史60年」での報告文章である[http://wwwsoc.nii.ac.jp/rekiken/annual_meetings/index.html]。この場合「苦役」とは「暗記地獄」を指しているが、似たような意味で、一昨年日本西洋史学会の折りに、ある先生は「世界史教師の博識は生徒の負担につながる」という言葉を口に出された。小川先生は、「善意」という言葉を使い、問題の深刻さをより強く示されているように思う。また「すべての道はローマに通ず」的で、なかなかシニカルでもある。
核心的な指摘の部分を引用させていただこう。
「今や、私たちは、はっきりと認識すべきなのである。高校世界史は、高校生からも社会人一般からも“嫌われている”科目であり、その意義に共感してもらうことに“失敗”してきた科目なのだということを。
私たちは、こう自問自答すべきなのだ。現代において世界史を学ぶことは必要だろうけれども、今の世界史教育の「方法」は高校生の学びにとって相応しいものなのだろうか、と。この自己検証を怠ってきたがゆえに、世界史を学ぶ意義までもが侵食されてしまったのではないだろうか。」
昨年宮崎大学で開かれた研究大会の折に私は報告を行ったが、その時の課題テーマは「転換期における歴史授業の実践的課題を探る」というもので(「高校世界史は、高校生からも社会人一般からも“嫌われている”科目であり、その意義に共感してもらうことに“失敗”してきた科目なのだということを認識すべき時がきた」という意味で、現在は転換期と言えるかもしれない)、私は教育学会という「理想を求める」場で、高校の教室という「現実的な場」ではどういう授業が行われているかを話してみた。様々な意見をもらったが、私と大学の先生方とは問題意識が違うようで、議論がかみ合ったとは思えない。このときのレジュメは[pdf" target="_blank">http://www005.upp.so-net.ne.jp/zep/sekaisi/jyugyou/zensyagaku2008.pdf]であるが、この「はじめに」で婉曲的に書いているように、私の問題意識が「嫌われている世界史を好きにさせるにはどうすればいいか」というものだったのに対し、大学の先生方は「何をどう教えれば、理想の人間として成長できるのか」という点に問題意識があったように思う。なかでも某出版社の歴史教育関係の本に掲載されていた内容を使った「日露戦争は侵略戦争か否か」というテーマの話を授業でやるのは不適切だ、という意見をいただいたが、「授業で何をすべきか」という点で、私と大学の先生方とは問題意識が違うように思われる。高校の世界史教師向けの研修会で、大学の歴史教育関係の先生を招くよりも、予備校の名物講師を招く方がより現実的な研修会となるのは、(少なくとも進学校の教師にとっては)自然かもしれない。そもそも、学会や学会誌で発表されているような授業が現場で実際に行われてきたとはいえない。大学の先生、生徒、そして保護者が求める「よい授業」はそれぞれに異なる。現場の教師が、直接の消費者である生徒や保護者のニーズを最優先して「理想的な授業」よりも「大学受験を念頭に置いた暗記中心の授業」をやってきたのは当然と言えば当然だろう。
以前『世界史をどう教えるか』(山川出版社)を読んだときに感じた「しっくりこない感じ」を、私は明確に説明することができなかった[http://zep.blog.so-net.ne.jp/2008-06-15]。だがこの論文ではそのことも明快に指摘されている。
では一体高校における世界史の授業は、どう変えていくべきなのか。残念ながら、今の私には旧来の授業スタイルにとって変わるべき対案があるわけではない。ただ「なんとかせねば」という気持ちは持っているつもりだ。授業ネタ集めはその一つの方法なのである。
サハラ砂漠の岩塩 [モノ教材(その他)]
センター試験で出題された、サハラの塩金貿易貿易がらみの問題です。
次の文中の空欄( ア )と( イ )に入れる語の組合せとして正しいものを,以下の①~④のうちから一つ選べ。
8世紀ころから栄えた( ア )では,イスラーム交易圏の拡大に伴い,西アフリカの( イ )とサハラ砂漠の塩(岩塩)との交易が盛んになった。
① ア-ガーナ王国 イ-金
② ア-ガーナ王国 イ-木 材
③ ア-パルティア王国 イ-金
④ ア-パルティア王国 イ-木 材
かつて遊牧民の宿営地であったトンブクトゥは,( 5 )王国やソンガイ王国の時代には,岩塩と金との交易で繁栄を極めた。ここにはイスラム諸学の学者が招かれ,宗教・学芸都市としてもその名は広く知られた。市の南西部にある(6)ジンガレイベル=モスクは,この都市の象徴となっている(次図参照)。このモスクの基礎部分は14世紀初めに築かれたが,その後,大幅に改築された。16世紀末に,この都市は干魃や洪水,疫病などの災厄に見舞われ,またサード朝モロッコ軍の攻撃を受け,荒廃した。(7)現存する建造物は,19世紀から20世紀にかけて再建されたと言われる。
問5 空欄 (5) に入れる国の名として正しいものを,次の①~④のうちから一つ選べ。
① モノモタパ ② クシュ ③ アクスム ④ マ リ
問6 次の地図中に記されたa~dのうち,下線部(6)の遺跡がある都市の位置を示す記号として正しいものを,以下の①~④のうちから一つ選べ。
塩金貿易で栄えたマリ王国のマンサ=ムーサ王(在位1312~37年)は、メッカ巡礼の際に金を湯水のごとく使ったため、カイロの金相場が大きく下落したというのは有名な話。センター試験でも「マリ国王マンサ=ムーサ(在位1312~37年)のメッカ巡礼はその豪華さでヨーロッパにも知られ,「カタルーニャ図」と呼ばれる世界地図にも記載された。」という文章がリード文にありました。(2001年度 世界史A追試験 第3問A)

アフリカのサハラ砂漠にあるマリ共和国のタウデニにある岩塩鉱床で採掘された岩塩です。アフリカの塩金貿易で使う教材です。「マリ共和国原産」というのが使えますが、浜島書店の資料集に写真が掲載されてるように、ここの岩塩は現在も板状で取引されています。重さはちょうど1キロ。大きさはボールペンと比べてみてください。
Yahoo!のオークションでは、岩塩が数多く出品されていますが、その多くはヒマラヤ(うすいピンク色をしたものが多い)、そしてモンゴルやカスピ海など。サハラの塩金貿易の話をするときに、ヒマラヤの岩塩を持って行ってもなぁ.....ということでここは少々割高でもサハラ砂漠産の岩塩を手に入れたいところ。ということで見つけた購入先は、アフリカの雑貨や民芸品を扱っているお店「アザライ」[http://www.azalai-japon.com/]。
「アザライ」という名前の由来がお店のホームページに紹介されていますが、
[http://www.azalai-japon.com/lexique/a.html#azalai]
素晴らしいネーミングだと思います。このお店の店長さんは自らアフリカをまわって仕入れをなさっているということですが、質問や問い合わせにも丁寧に応じていただき、たいへんありがたいことでした。
この 「アザライ」では、サハラの岩塩を300グラム単位で販売していましたので、「もう少し大きいのはないか」と問い合わせたところ、「現在手元にある所有する最大の岩塩は、重さが35~38kg、大きさは100~120×50~60×3~5㎝のもので、タウデニの岩塩鉱から切り出してラクダの背でトンブクトゥまで運ばれてきたままのものです。(食品ですので汚れを削り落としたりして多少小さくなっていますが)」とのこと。いくらなんでもこの大きさでは教室に持って行けません。おまけに値段は8.5万円+送料(3000~4000円くらい)!実は8.5万円というのもかなり割引の価格なんですが、それでもこの値段。ということで、1キロ分を削って譲っていただきました。値段は300グラム800円が現在1割引で720円、で100グラムあたり240円ということで2400円(プラス送料)でした。
それにしても、40キロ近い重さの岩塩をアフリカからそのまま日本に持ってきたということに驚きました。
お店のホームページには、サハラの岩塩について詳しく解説されています。
[http://www.azalai-japon.com/aliment/sel_taoudenni.html]
購入前に「塩なので大気中の湿気を吸います。密閉した容器:たとえば丈夫なビニール袋などに入れておかないと最悪の場合表面から少しづつ溶け出してしまいます」というアドバイスをもらっていたので、 「Ziplocにいれて回覧させたい」と伝えたら、ラップで包装した上、わざわざZiplocに入れてお店のシールを貼って送っていただきました。
塩一般については、JTが運営している「たばこと塩の博物館」が詳しいです。
[http://www.jti.co.jp/Culture/museum/sio/index.html]
次の文中の空欄( ア )と( イ )に入れる語の組合せとして正しいものを,以下の①~④のうちから一つ選べ。
8世紀ころから栄えた( ア )では,イスラーム交易圏の拡大に伴い,西アフリカの( イ )とサハラ砂漠の塩(岩塩)との交易が盛んになった。
① ア-ガーナ王国 イ-金
② ア-ガーナ王国 イ-木 材
③ ア-パルティア王国 イ-金
④ ア-パルティア王国 イ-木 材
(2008年年度 センター試験世界史A 第2問B)
かつて遊牧民の宿営地であったトンブクトゥは,( 5 )王国やソンガイ王国の時代には,岩塩と金との交易で繁栄を極めた。ここにはイスラム諸学の学者が招かれ,宗教・学芸都市としてもその名は広く知られた。市の南西部にある(6)ジンガレイベル=モスクは,この都市の象徴となっている(次図参照)。このモスクの基礎部分は14世紀初めに築かれたが,その後,大幅に改築された。16世紀末に,この都市は干魃や洪水,疫病などの災厄に見舞われ,またサード朝モロッコ軍の攻撃を受け,荒廃した。(7)現存する建造物は,19世紀から20世紀にかけて再建されたと言われる。

① モノモタパ ② クシュ ③ アクスム ④ マ リ
問6 次の地図中に記されたa~dのうち,下線部(6)の遺跡がある都市の位置を示す記号として正しいものを,以下の①~④のうちから一つ選べ。
① a ② b ③ c ④ d
(2003年 センター試験世界史B 追試験 第2問B)
塩金貿易で栄えたマリ王国のマンサ=ムーサ王(在位1312~37年)は、メッカ巡礼の際に金を湯水のごとく使ったため、カイロの金相場が大きく下落したというのは有名な話。センター試験でも「マリ国王マンサ=ムーサ(在位1312~37年)のメッカ巡礼はその豪華さでヨーロッパにも知られ,「カタルーニャ図」と呼ばれる世界地図にも記載された。」という文章がリード文にありました。(2001年度 世界史A追試験 第3問A)

アフリカのサハラ砂漠にあるマリ共和国のタウデニにある岩塩鉱床で採掘された岩塩です。アフリカの塩金貿易で使う教材です。「マリ共和国原産」というのが使えますが、浜島書店の資料集に写真が掲載されてるように、ここの岩塩は現在も板状で取引されています。重さはちょうど1キロ。大きさはボールペンと比べてみてください。
Yahoo!のオークションでは、岩塩が数多く出品されていますが、その多くはヒマラヤ(うすいピンク色をしたものが多い)、そしてモンゴルやカスピ海など。サハラの塩金貿易の話をするときに、ヒマラヤの岩塩を持って行ってもなぁ.....ということでここは少々割高でもサハラ砂漠産の岩塩を手に入れたいところ。ということで見つけた購入先は、アフリカの雑貨や民芸品を扱っているお店「アザライ」[http://www.azalai-japon.com/]。
「アザライ」という名前の由来がお店のホームページに紹介されていますが、
[http://www.azalai-japon.com/lexique/a.html#azalai]
素晴らしいネーミングだと思います。このお店の店長さんは自らアフリカをまわって仕入れをなさっているということですが、質問や問い合わせにも丁寧に応じていただき、たいへんありがたいことでした。
この 「アザライ」では、サハラの岩塩を300グラム単位で販売していましたので、「もう少し大きいのはないか」と問い合わせたところ、「現在手元にある所有する最大の岩塩は、重さが35~38kg、大きさは100~120×50~60×3~5㎝のもので、タウデニの岩塩鉱から切り出してラクダの背でトンブクトゥまで運ばれてきたままのものです。(食品ですので汚れを削り落としたりして多少小さくなっていますが)」とのこと。いくらなんでもこの大きさでは教室に持って行けません。おまけに値段は8.5万円+送料(3000~4000円くらい)!実は8.5万円というのもかなり割引の価格なんですが、それでもこの値段。ということで、1キロ分を削って譲っていただきました。値段は300グラム800円が現在1割引で720円、で100グラムあたり240円ということで2400円(プラス送料)でした。
それにしても、40キロ近い重さの岩塩をアフリカからそのまま日本に持ってきたということに驚きました。
お店のホームページには、サハラの岩塩について詳しく解説されています。
[http://www.azalai-japon.com/aliment/sel_taoudenni.html]
購入前に「塩なので大気中の湿気を吸います。密閉した容器:たとえば丈夫なビニール袋などに入れておかないと最悪の場合表面から少しづつ溶け出してしまいます」というアドバイスをもらっていたので、 「Ziplocにいれて回覧させたい」と伝えたら、ラップで包装した上、わざわざZiplocに入れてお店のシールを貼って送っていただきました。
塩一般については、JTが運営している「たばこと塩の博物館」が詳しいです。
[http://www.jti.co.jp/Culture/museum/sio/index.html]
安達正勝『死刑執行人サンソン-国王ルイ16世の首を刎ねた男』(集英社新書) [歴史関係の本(小説以外)]
長谷川哲也『ナポレオン 獅子の時代』の第2巻に登場する、フランス革命時の死刑執行人がこの本の主役シャルル=アンリ・サンソン。彼は国王ルイ16世とマリー・アントワネット夫妻をはじめ、、エベール、ダントン、ラヴォワジエ、ロベスピエール、サン=ジュストといったフランス革命に関わる著名人の処刑にはほとんど関わったことで知られています。 『スティール・ボール・ラン~ジョジョの奇妙な冒険Part7』に登場するジャイロ・ツェペリは、このシャルル=アンリ・サンソンがモデルだそうです
サンソン家は200年以上にわたってフランスの死刑執行人を世襲してきた家柄で、この本はそのサンソン家の当主の中では最も著名な第4代 シャルル=アンリ・サンソンに焦点をあてた本です。実に面白い本で、①死刑執行人が一般の人からどのように見られていたか、②死刑執行人の日常生活はどのようなものであったか(副業で医者もやっており、かなり裕福)、③処刑の実際はどのようなものであったか、というエピソードから、④死刑執行人サンソンというフィルターを通してみたフランス革命史、という側面まで併せ持つ名著。サンソンがルイ16世とナポレオン1世の両方に直接会ったことがある、というのも興味深い話です。ギロチンについて話し合う会議の場にサンソンが出席したとき、「刃は斜めにすべきだ」という意見を唱えたのがルイ16世だったというのは、なんという皮肉。
Wikipediaにはギロチンに関する次のようなエピソードが紹介されています。
「ルイ16世の首をはねたギロチンの刃は、死刑執行人のシャルル=アンリ・サンソンが大切に保管していたと回想録に書かれているが、後にサンソン家最後の死刑執行人であるアンリ=クレマン・サンソンが、浪費による借金のために牢獄に入れられ、3800フランの借金返済のために質入れしてしまった。死刑執行命令を受けたサンソンはギロチンを質入してしまったことを法務大臣に話して3800フランの現金を支給され、ギロチンを買い戻して死刑を執行した。しかし、アンリ=クレマンはこの直後に責任を取らされて死刑執行人を罷免された。この当時のフランスの制度ではギロチンは死刑執行人の私有財産であり公共財産ではない、そのためサンソンは横領罪に問われることは無かった。一度、質から出されたギロチンは再度売られたという。サンソンが売り払ったギロチンは交流のあったイギリス人の手に渡り、現在はイギリスのマダム・タッソー館にマリーアントワネットやサンソンの蝋人形と一緒に展示され、説明書きに由来が記されている。」
「フランスでは死刑執行人の人員削減に伴って、死刑執行人が所有していたギロチンが売却されていった。 特に、ルイ16世の首を刎ねたというギロチンは何度も競売にかけられた記録があるなど、真贋の怪しいギロチンも数多く出回った。 現在でもシュミット工房がギロチンの製造販売を行っているため、個人が新品のギロチンを購入することは可能である。価格は時価である。日本国内では明治大学博物館に唯一展示・収蔵されており、見学することができる。」
「1996年にジョージア州の下院議員が電気椅子に代わる死刑執行方法としてギロチンを導入する法案を出したが廃案となった。 電気椅子や薬殺で死んだ死刑囚は臓器提供者となることが出来ないため、臓器を傷つけないギロチンを採用すべきだと提案していた。」


サンソン家は200年以上にわたってフランスの死刑執行人を世襲してきた家柄で、この本はそのサンソン家の当主の中では最も著名な第4代 シャルル=アンリ・サンソンに焦点をあてた本です。実に面白い本で、①死刑執行人が一般の人からどのように見られていたか、②死刑執行人の日常生活はどのようなものであったか(副業で医者もやっており、かなり裕福)、③処刑の実際はどのようなものであったか、というエピソードから、④死刑執行人サンソンというフィルターを通してみたフランス革命史、という側面まで併せ持つ名著。サンソンがルイ16世とナポレオン1世の両方に直接会ったことがある、というのも興味深い話です。ギロチンについて話し合う会議の場にサンソンが出席したとき、「刃は斜めにすべきだ」という意見を唱えたのがルイ16世だったというのは、なんという皮肉。
Wikipediaにはギロチンに関する次のようなエピソードが紹介されています。
「ルイ16世の首をはねたギロチンの刃は、死刑執行人のシャルル=アンリ・サンソンが大切に保管していたと回想録に書かれているが、後にサンソン家最後の死刑執行人であるアンリ=クレマン・サンソンが、浪費による借金のために牢獄に入れられ、3800フランの借金返済のために質入れしてしまった。死刑執行命令を受けたサンソンはギロチンを質入してしまったことを法務大臣に話して3800フランの現金を支給され、ギロチンを買い戻して死刑を執行した。しかし、アンリ=クレマンはこの直後に責任を取らされて死刑執行人を罷免された。この当時のフランスの制度ではギロチンは死刑執行人の私有財産であり公共財産ではない、そのためサンソンは横領罪に問われることは無かった。一度、質から出されたギロチンは再度売られたという。サンソンが売り払ったギロチンは交流のあったイギリス人の手に渡り、現在はイギリスのマダム・タッソー館にマリーアントワネットやサンソンの蝋人形と一緒に展示され、説明書きに由来が記されている。」
「フランスでは死刑執行人の人員削減に伴って、死刑執行人が所有していたギロチンが売却されていった。 特に、ルイ16世の首を刎ねたというギロチンは何度も競売にかけられた記録があるなど、真贋の怪しいギロチンも数多く出回った。 現在でもシュミット工房がギロチンの製造販売を行っているため、個人が新品のギロチンを購入することは可能である。価格は時価である。日本国内では明治大学博物館に唯一展示・収蔵されており、見学することができる。」
「1996年にジョージア州の下院議員が電気椅子に代わる死刑執行方法としてギロチンを導入する法案を出したが廃案となった。 電気椅子や薬殺で死んだ死刑囚は臓器提供者となることが出来ないため、臓器を傷つけないギロチンを採用すべきだと提案していた。」

死刑執行人サンソン―国王ルイ十六世の首を刎ねた男 (集英社新書)
- 作者: 安達 正勝
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2003/12
- メディア: 新書
ナポレオン獅子の時代 2 (2) (ヤングキングコミックス)
- 作者: 長谷川 哲也
- 出版社/メーカー: 少年画報社
- 発売日: 2004/06/28
- メディア: コミック
『ブーリン家の姉妹』(ジャスティン・チャドウィック監督、2007年、イギリス) [歴史映画]
【映画について】
原題は『The Other Boleyn Girl』で、フィリッパ・グレゴリーによる同名小説の映画化作品。アン・ブーリン役にナタリー・ポートマン、アンの妹メアリ役にはスカーレット・ヨハンソンという若手実力派女優が競演し、ヘンリ8世はエリック・バナが演じています。なおフィリッパ・グレゴリー原作の映像化として、2003年にもBBCにてテレビ版が製作されているようです。
脚本は、エリザベス2世を演じたヘレン・ミレンがアカデミー賞の主演女優賞を得た『クイーン』[http://queen-movie.jp/]で脚本を担当したピーター・モーガン。また『恋におちたシェイクスピア』でアカデミー衣装デザイン賞を獲得したサンディ・パウエルが衣装を担当し、プロデューサーとしてケイト・ブランシェットの『エリザベス』を担当したアリソン・オーウェンがクレジットされるなど、テューダー朝イングランドを描いた映画関係者が名を連ねています。
【ストーリー】
シネマトゥデイ [http://cinematoday.jp/movie/T0006549]
公式サイト(日本) [http://www.boleyn.jp/]
【見所など】
これまでのヘンリ8世は、『わが命つきるとも』や『キング・オブ・サンダー』など、ホルバインの肖像画にもとづく俳優がほとんどでしたが、今回はエリック・バナがヘンリ8世役。エリック・バナというと、『トロイ』のヘクトル役や『ミュンヘン』のヒットマン役など「いつも憂鬱」そうな表情の役が多く、ちょっと疑問だったのですが、これはよい配役だったように思います。ナタリー・ポートマンとスカーレット・ヨハンソンの二人がかなりモダンな役作りですが、ブーリン姉妹の母エリザベスやノーフォーク公、キャサリン=オヴ=アラゴンなど、脇役が渋い演技を見せているので、映画全体を落ち着いたものにしているようです。キャサリン役の アナ・トレントという女優は、実際にスペインの女優さんのようです。
映画中、姉妹の父トマス・ブーリンが妻のエリザベスに対して、妻の裕福な実家について触れるシーンがありますが、これは史実通り。トマスはもともとナイトでしたが、エリザベスの父は名門ノーフォーク公の二代目当主トマス・ハワードです。「ハワード」という姓からわかるように、ヘンリ8世の5番目の王妃となるキャサリン・ハワードとは深い関係があり、トマス・ハワードはアン・ブーリン、キャサリン・ハワード二人の祖父にあたります。したがってアンとキャサリン・ハワードはいとこ同士、ということになります。アンとキャサリン、ともにヘンリ8世によって処刑されるとは、なんとも皮肉な話。
アン・ブーリンが1男2女の3人兄弟だったのは史実通りですが、出生の順番は正確には分かっていません。映画ではアンが姉、メアリーが妹となっていましたが、アンが妹とする説もあります。映画ではアンがフランス宮廷に行ったのは、ノーザンバーランド伯パーシー卿とあげた秘密裏の結婚のほとぼりをさますためとされていましたが、記録ではアンがフランス宮廷に渡ったのは、ヘンリ8世の妹メアリがフランスのルイ12世に嫁ぐときです。ノーザンバーランド伯との関係は、アンがフランスから帰ってきてからのことのようです。
映画で私が最も注目したのは、アンの処刑です。以前コメントで指摘があったように、アンの処刑は、一緒に兄弟のジョージと異なりフランス式でした。処刑に際してフランスからわざわざ処刑人を呼び寄せたというのも史実のようです(森護『英国王妃物語』)。
歴史的な背景を知っておくと、知らないよりも楽しめる映画だと思います。まずヘンリ8世の最初の王妃キャサリンは、コロンブスの航海を支援したカスティリャ女王イサベルとアラゴン王フェルナンド2世の間に生まれた女性で、スペイン王カルロス1世(神聖ローマ皇帝カール5世)の叔母にあたります。カール5世というとフッガー家の関わりもあってマルティン=ルターの宗教改革を弾圧した人物。当然ながらローマ教皇とは親密な関係にあり、当時の教皇クレメンス7世に対して、叔母の離婚を認めないように動いたのは当然のことでしょう。
小説の映画化なので、重要な話が抜けているのは仕方がないところですが、トマス=モアに関しては扱ってもよかったかも。『わが命つきるとも』もあわせて見ると、よいと思います。その後、ケイト・ブランシェットの『エリザベス』『エリザベス・コールデン・エイジ』、ヘレン・ミレンの『エリザベス1世』などを見ると、うまくつながるでしょう。

BBC 世界に衝撃を与えた日―15―~英国王妃アン・ブーリンの処刑とエドワード8世の退位~
- 出版社/メーカー: ジェネオン エンタテインメント
- メディア: DVD




















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