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戦場カメラマン渡部陽一氏の講演会 [たんなる日記]

 今日は菊池市の生涯学習フェスティバルに行ってきた。息子が通う中学校の「一人一役」の割り当てで、渡りに船といったところ。

 会場は超満員で、通路までぎっしり。さすがテレビで人気のことはある。

 講演会は3つのパートで構成されていて、①「私が戦場カメラマンになった理由」、②「戦争下の子どもたち」、③「質疑応答」。彼が戦場カメラマンになった理由についてはWikipediaにも書いてあるけど、実際本人の口から語られると、すごいリアリティだった。語り口のせいもあるだろうけど、子どもから大人まで実にわかりやすい話だった。質疑応答では、子どもに本の読み聞かせをしているという人から「そのようにわかりやすくはなせるコツは何ですか」という質問もあり、単語を一つ一つはっきりと、ゆっくりはなすことだと言っていた。

 実は私、バラエティー番組での渡部氏を知らなかったので、語り口その他は初めて。話を聞いていると、戦場では話が通じないと困るので、言葉をはっきりゆっくり、そしてジェスチュアや身振り手振りも交えて話すようにしているため、あの話し方が普通になったらしい。

 いちばん印象に残った話は、
 「戦争の当事国だけでは戦争を止めることはできない。どこか別の国が間にはいって手をさしのべないとダメ。手をさしのべるというのは、具体的に言うと、その国のことを知ること。難しい政治や経済は後でもいいから、歴史や地理なんでもいい。」ということ。世界史の授業も役に立てるかな?

 いい講演会だった。
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私が今住んでいる場所は、旧日本陸軍の施設の敷地だった [その他]

 今私が住んでいる所は「昔は軍の飛行場だった」とは耳にしていた。また一年ほど前、熊本日々新聞の「わたしを語る」で、日本舞踊家の藤間富士齋さんが「菊池の特攻基地にも慰問した」という記事を読んだこともあって、花房飛行場については関心をもっていた。そして今年の9月にこの飛行場で使われていた給水塔が、菊池市の有形文化財の指定を受けたということで、一度見てみたいと思っていたが、正確な場所が不明だった。折良く、地元の「花房飛行場の戦争遺産を未来に伝える会」の方々が、見学会を行うということで参加してきた。

 国道387号線をはさんで、東側が花房飛行場(正式には陸軍菊池飛行場)、西側が菊池通信教育隊の跡地である。驚いたのは、私が家を建てたところが飛行場ではなく、通信教育隊のもと敷地内で、家のすぐわきに教育隊基地のトイレがまだ残っていたこと。また以前から、不自然な場所に防火水槽がいくつもあることを訝しく思っていたのだが、これらはすべて教育隊の施設としてつくられたものであった。

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文化財に指定された給水塔。かつて花房台地の地下水を貯水していた。米軍の機銃掃射の痕が至る所に残っている。戦後は富の原地区に生活用水を供給し、なんと2007年まで使われていたという。案内をしていただいた菊池市立菊池南中学校の先生は、「子どもの頃はよく上って遊んでいた」という。現在は、毎日地元有志の方々が点検やパトロールを行っている。


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飛行機の格納庫のあと。至る所、機銃掃射の痕が生々しく確認できる。


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機銃掃射の痕。



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燃料倉庫。同行していただいた当時を知る方によれば、燃料はドラム缶で野積みだったので、弾薬庫だったのでないかという。最近まで住居兼倉庫として使用されていた。現在の所有権者が重機を使って解体を試みたが、あまりに頑丈で壊せなかったそうである。菊池川からとった石がコンクリートに混ぜられているとのこと。


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現在も倉庫として使用されているもと倉庫と、その中に残っている、当時のもと思われる書き込み。

 もと飛行場あとの地域では、至る所に当時のコンクリートが残っている。軍用で丈夫なため、除去できないらしい。もっとも最近は、アパートなどの建設で、なくなるものも多いとのことであった。


 給水塔が文化財指定を受けたことで、「平和と養生のまち」をテーマに地域づくりをしていきたいということである。先日地元の熊本日々新聞で紹介された、県立菊池高校の社会同好会も先生と生徒が参加していた。

 昨年大分県立博物館に行ったとき、宇佐市では掩体壕など戦争遺跡を保存する活動がさかんであるという話を学芸員の方からうかがった。私が住む地域でもそうした活動が行われており、自分が住む地域の歴史を目の当たりにすることができ、たいへん有意義であった。




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「ディープピープル」 [大学受験]

 昨日(24日)の夜11:30からNHKで放送されていた、『ディープピープル』は、実におもしろかった。登場していたのは、竹岡広信さん(英語)、板野博行さん(国語)、大竹真一さん(数学)の3人。

 「どこでつまずくかがわからないといけない」というのは、その通り。これは大学受験に限ったことではないと思いますが。語呂合わせも大事、というのも同感でした。

 ただ世界史の場合には、思考力を問う問題というのは東大とか一橋と言った一部の大学にjかぎられるので、センター試験レベルでは、問題としっかり向き合うというのはあまり体験できることではないでしょう。だから、「ウチの学校には東大受ける生徒なんていないから」というのではなく、東大その他入試問題を考えるというのは、必要なことだと思います。自分でも考えて、予備校の解答などと比べてみる。どこの予備校の解答がいいのか、ということを考えるのも、いい勉強になると思います。

 何のために勉強するのか?という問いに対する答えも、実にカッコよかったですね。

 ある予備校は、チョークの固さが4種類あるって。今の学校は1種類だけ。前の学校は2種類あったけど。
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沖縄で出会った楽しい人たち [たんなる日記]

 18日(金)~本日20日(日)まで、「第16回九州高等学校文化連盟 美術・工芸、書道写真展 沖縄大会」のため、沖縄に行ってきました。

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てんぶすの前で、火を使ったパフォーマンスを行う男性


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かっちゃん


 写真部門で司会していた女子高校も沖縄らしくさわやかで、よかったです。
 
 来週の木曜金曜は、九州高文連の会議で鹿児島(指宿)におじゃまします。
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ワトー「シテール島への船出」 [授業ネタ]

 ワトー(1684-1721)の「シテール島の巡礼」は17・18世紀の文化の項目でよく取り上げられる作品です。帝国の『タペストリー』でも、浜島の『ニューステージ』にも写真が出ています。

 ところが、帝国掲載の絵は、浜島に掲載されている絵と微妙に違います。クレジットを見ると、帝国版には「シャルロテンブルク美術館蔵」とあるのに、浜島版には「ルーヴル美術館蔵」とあります。タイトルはどちらも「シテール島の巡礼」ですが、別の絵ですね。

 ワトーはこの絵を二枚描いています。構図はほぼ同じですが、人物の様子や右側のヴィーナス像などが大きく異なっています。一枚はワトーの故国フランスに残り、もう一枚はワトーの死後の1763年にプロイセンのフリードリヒ大王が購入し、サン=スーシ宮殿に飾られます。戦時中の疎開をへて、第二次大戦後は旧西ベルリンに戻りホーエンツォレルン家のシャルロッテンブルク宮殿に収蔵されていましたが、80年代半ば、当時ホーエンツォレルン家の当主であったプリンツ(王子)=フォン=フェルディナント=フォン=プロイセンは、財政難を理由にこの絵を売却する意向を明らかにします。アメリカのポール=ゲティ美術館は3500万マルク(当時約28億)のオファーを出し、その他ドイツ国内からも2500万マルク(約20億円)のオファーがあったそうです。これに対しベルリン市民は、「シテール島の巡礼」がベルリンから流出するのを防ぐべく、市民運動を展開し、500万マルク(約4億円)を集めました。プリンツも「絵が西ベルリンに残るなら1500万マルク(約12億円)でよい」と提示していたことから、残額を市と連邦政府が負担し、絵はベルリンに残ることになります。

 現在この絵があるシャルロッテンブルク宮殿のシャルロッテとは、フリードリヒ大王の祖母でゾフィー・シャルロッテのことです。彼女はハノーヴァー選帝侯の娘で、イギリス国王ジョージ1世の妹にあたります。

 以前この絵は「シテール島への船出」というタイトルで知られていました。ところが第二次大戦後、「船出」というタイトルに疑問が提出されるようになります。描かれている男女は、愛の島に旅立とうとしているのではなく、立ち去ろうとしているのであり、描かれているのは愛の始まりではなく終わりであるとする解釈です。「船出」というタイトルはワトー死後のもので、フランス学士院がこの作品を受け入れたときの記録では「シテール島への巡礼」となっている。もっともこの反論にもさらに反論があり、1984年に米仏で開催されたワトー生誕300年を記念する大回顧展では、パリ作品が「巡礼」、ベルリン作品が「船出」となっていたそうです。

 山川の世界史写真集に収録されているものはフランス版なので、『タペストリー』掲載の絵と比べるとおもしろいと思います。
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アウストラロピテクスの化石レプリカ [モノ教材(模型)]

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 アウストラロピテクスの頭部化石模型。1/1でかなりリアルですが、値段も3万4900円と高価です。化石セブン[http://www.kaseki7.com/]というショップで扱っており、ほかにネアンデルタール人とクロマニョン人の頭骨レプリカもあります。アウストラロピテクス属にはアフリカヌスほか5種がありますが、これは「ルーシー」で有名なアファレンシス(アファール猿人、約320万年前)のレプリカです。「現在の人間とどこが違う?」と発問し、頭が小さく、顎が大きいことに気づかせたいところ。猿人というと、ゴリラみたいな大きさを想像するかもしれませんが、ルーシーは身長110センチ、体重27キロという大きさでした。

 人類は進化するにつれて脳が大きくなっていきますが、大きくなり始めるのは約240万年前ごろから。ホモ属の誕生です。この段階でも現生人類の脳に比べれば、まだ半分程度ですが、400万年以上3分の1だったのですからこの変化は大きい。

 では、脳が大きくなる要因はなんでしょうね?我々の脳は体重のわずか2%の重さをしめるだけなのに、消費するエネルギーは、全体の20~25%にも及びます。原人でさえ、17%になるとか。これだけのエネルギーを消費する脳を維持するためには、高カロリーで栄養豊富な食糧が必要です。三井誠著『人類進化の700万年』(講談社現代新書)には、「人間は肉をたくさんたべるようになったから、脳を大きくできた」という説が紹介されています。原人となって火を使って「焼き肉」を食べるようになり、頭が大きく顎が小さくなった.....のかもしれません。




人類進化の700万年 (講談社現代新書)

人類進化の700万年 (講談社現代新書)

  • 作者: 三井 誠
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2005/09/17
  • メディア: 新書



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「豹の檻」~リチャード1世の10ユーロ [モノ教材(貨幣)]

浦沢直樹&勝鹿北星による名作『MASTERキートン』第8巻掲載のエピソード。




「ドナウ川近くの動物園では、ライオンがヒョウの檻に入り、出られなくなっている」....1990年の秋、BBCを介して繰り返される奇妙なニュース。このニュースのことを聞いたキートンは「英国王室になにか事件が起こっているのでは」と予言する。果たしてキートンの元には、イラクで行方不明になった王族の救出ミッションが依頼された。行方不明になっているのは、キートンの大学時代の友人ノーフォーク公リチャード。リチャードを救うため、キートンはサダム・フセイン独裁下の軍事国家イラクに潜入する。




 キートンが暗号の内容を理解したのは、リチャード1世獅子心王にまつわるエピソードを知っていたからです。

第3回十字軍の後の1192年、弟ジョンに謀反のたくらみ有りとの知らせを受けたリチャードは帰国の途につきましたが、ヴェネツィア沖で嵐におそわれてトリエステまで流され、やむなくドイツ~オーストリアの陸路をとることにします。ところがウィーン付近で正体が露見したためオーストリア公レオポルド5世の部下に捕らえられてしまいました。リチャード1世がアッコンに一番乗りをしたオーストリア公レオポルドの旗に侮辱を加えたというのが背景にはあるようです。リチャードが幽閉されたのが、ウィーン近郊のデュルンシュタイン城。キートンはこのエピソードをもとに、暗号を解いたというわけ。


 その後リチャードは神聖ローマ皇帝ハインリヒ6世に身柄を引き渡され、リチャードは15万マルクの身代金を要求されました。その3分の1を前払いすることで釈放されることになりましたが、十字軍の遠征費用を含めて莫大な借金を抱えることになったリチャードは、借用書に使った玉璽が海難事故でなくなったため、玉璽を改訂するという口実を設けて借金をすべて踏み倒してしまいます。 この身代金をもとに設立されたのが、今日のウィーン造幣局です[http://www.austrianmint-jp.com/outline/outline_history.html]。

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オーストリアで2009年に発行されたリチャード1世の10ユーロです。ebayで20ドルでした。最初、ディーラーのミスで違う商品(同じく「オーストリアの物語と伝説シリーズ」のバジリスクの10ユーロ)が送ってきたので、送り返したところ、ブリスター入りの商品を送ってくれました(20ドルで買ったのはコインだけの商品でした。ちなみに返送料は190円。


拡大写真です。[http://www.taiseicoins.com/index.php/module/ShohinShosai/action/ShohinShosai/sno/6514/cskbn/000001/default_list/on/start/9]




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「地域」と世界史 [その他]

 先日『学生が語る 戦争・ジェンダー・地域』について書いたところ、福岡大学の星乃治彦先生から『「地域」(七隈・福岡東アジア)と生きる福岡大学』を送っていただきました。この冊子は、総合科学研究チーム「グローバル化の中の『地域』」というプロジェクト[http://www.cis.fukuoka-u.ac.jp/~hoshisemi/Project/global.html]が主催した講演およびシンポジウムの記録です。福岡大学といういわば「地域」の大学が地元とどう関わっていくかを考えていこうという研究ですが、中でも「リージョナリズムとナショナリズム」という問題提起は重要だと思います。

 2008年の10月に刊行された本『歴史学のフロンティア』(大阪大学出版会)のサブタイトルが「地域から問い直す国民国家史観」となっていることが示すとおり、地域という概念がクローズアップされるようになった背景には、国民国家という概念が相対化されるようになったことがあるのでしょう。

 「地域」という言葉に反応したのは、山川出版社が発行している『歴史と地理』の今年の2月号(No.631)に紹介されている「地域から考える世界史」というプロジェクトに私も関わっているからです。「地域からの世界史」(この場合の世界史は、地理歴史科の中の科目としての世界史)で使うときの地域とは、『歴史学のフロンティア』でいわれている「ローカル」な地域に近いと私は考えています。なお『歴史学のフロンティア』では、グローバル→リージョナル→ナショナル→ローカルというとらえ方を提唱していますが、私のイメージでは「地域から考える世界史」というときには「ローカル」よりももうワンランク小さなイメージを持っています。

 南塚信吾先生は『世界史なんていらない?』(岩波ブックレット)の中で、世界史を構想するヒントとして「ミクロ地域からの世界史」を提唱していますが、イメージとしてはこれがいちばんしっくりきますね。ですから、星乃先生から送っていただいた冊子にある「『地域』は人の生きていくもっとも大切な場所であり、だからこそ人を引きつける」とか、「地域とは人びとが基本的な生活を営み、かつさまざまな活動を展開する基盤となる空間」という言葉には、曖昧ではありますが共感を覚えます。

 私の子どもが通う小学校には、地域学習発表会という行事がありますが、この場合の地域は校区のことです。高校ではどうでしょうね?少なくとも郡市、県くらいの広さでしょうか。また、生活の基盤となる空間が複数の行政区分にまたがることもあるでしょう。確かに「地域は人間の意図する目的や見方によってその範囲や規模が規定される」(『「地域」と生きる福岡大学』)と言えます。

 『歴史と地理』に掲載された紹介文には、ある先生から出された「地域からの世界史は、それぞれの地域のお国自慢になるおそれはないか。それでは意味が無いのでは」という言葉が載っています。どのような文脈での発言で、またどのような議論が交わされたのかは不明ですが、私は「お国自慢、大いに結構」と思っています。小学生で自分の校区の歴史や特産品、先人の努力を調べて関心を持ち、成長するにつれて関心の対象範囲が拡大することになんら不都合があるとは思えません。授業で知ったことを契機に関心を広げていけばよいのであり、なにも授業がすべてで、そこで終わりということではないでしょう。エルトゥールル号のことを授業で扱うとき、熊本と和歌山で同じ扱いにできるわけがありません。

 『(「地域」と生きる福岡大学』で触れられている「グローバルに考え、ローカルに行動する」という言葉は、いい言葉だと思います。このような視点を意識することで、世界システム論ももっと授業に生かすことができるように思います。



 
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没薬 [モノ教材(その他)]

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 帝国書院の教科書『新詳世界史B』の33ページに載っている地図「古代のインド洋における交易路と交易品」に出ている交易品の一つがこの没薬(もつやく)。ヘロドトスの『歴史』に書かれている古代エジプトのミイラ製造法には、「すりつぶした純粋な没薬と肉桂および乳香以外の香料を腹腔に詰め、縫い合わす。」とあります(乳香はなぜ使われないのでしょうか?)。ミイラの語源はこのミルラだそうです。

 没薬は、「ミルラノキ」属の樹木から分泌される樹脂を固めたもので、 ミルラとも呼ばます。昔から有名な香料の一つです。

①ギリシア神話
 美少年アドニスの母であるキプロスの王女ミュラが変身させられた姿がミルラノキで、その流す涙が没薬である。

②新約聖書
 東方の三博士がイエス・キリストに捧げた3つの贈り物は、乳香、黄金、そして没薬であった。またイエスを埋葬するとき遺体とともに入れられた香料にも没薬がいれられた。




 





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教員免許更新講習 [たんなる日記]

 私は昭和41年の6月6日生まれなので、教員免許更新制では平成24年の3月31日が最初の終了確認期限です。今年度と来年度の2年間で講習を受けなければなりません。
 ということで、4月になったので、講習の申し込みをしました。

 熊本県は開講大学がつくっている熊本コンソーシアムという組織にウェブ上から申し込みしなければなりません。以下の講習を申し込みました。合計30時間で、受講料は12000円+6000円×3=3万円。けっこうかかります。モトは取らねば。

 必修:教育の最新事情
 選択::九州新幹線を地理学する/世界史教育の現状と課題
 選択::政治学の基礎知識
 選択:日本建築の美しさと仕組み

 必修の最初は6月に実施されますが、そのころは九州の高校総文祭なので8月の講座を申し込みました。同じ日に同じ場所で同タイトルで実施されるのに、申し込み人数が極端に違うのはシラバスに記載されている内容によるものでしょう。この人数の違いを、大学側・講師は考えて欲しいものです。

 選択は、当初「歴史学の現場から」を受講しようと思ったのですが、全国の高校総文祭と重なってしまい、「日本建築の美しさと仕組み」を申し込みました。この講座は申し込み人数も多く、結構人気があるようです。


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新年度が始まりました [たんなる日記]

 今年の異動は対象となった先生がとても多く、全部で22名でした。中には他県との交流で、宮崎西高校勤務となった先生も。単身赴任するそうな。徳島に単身赴任していた頃を思い出します(それはそれで楽しかったけど)。でも宮崎西高校から熊本高校に来る先生は新聞に掲載されていたのに、ウチの学校から宮崎へ行く先生の名前が新聞に載ってなかったのはなぜでしょう???

 今年は地歴・公民科の教科主任なので、今日はまず各先生方の教科担当クラスの決定をしなければなりませんね。時間割を作り始めないといけないから。ウチの科には新規採用の先生がこられるので、非常勤の先生も同時に配属されました。

 今年は久しぶりに担任かーと思ってたら、熊本県高等学校文化連盟事務局長という仕事がまわってきました。授業どころではないかも?

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『JSA』(パク・チャヌク監督、2000年、韓国) [歴史映画]

 題名のJSAとはJoint Security Area(共同警備区域)の略で、南北朝鮮の休戦ライン上で唯一両国が会談を行う場所。南北朝鮮の代表が会談を行う場所を一般に板門店と呼んでいますが、正式にはJSAと呼ぶそうです。

 この映画『JSA』は、朝鮮半島の南北分断という重いテーマを、サスペンス/ミステリータッチで描いた作品。エンターティメント性も高く、1時間50分というあまり長くはない作品ですが見応えのある映画です。北朝鮮兵士には『シュリ』のソン・ガンホ、彼と心を通わす韓国軍兵士には韓流四天王の一人イ・ビョンホン、そして中立国監視委員会から派遣され、事件の真相を追求する韓国系スイス人兵士には『チャングム』のイ・ヨンエという韓国を代表するスターたちが出演しています。

 興味深いのは、朝鮮戦争で捕虜になった北朝鮮兵士には2グループあったという話。1つは北朝鮮政府に忠誠を誓ったグループで、もう一つは無理矢理北朝鮮軍に入れられた人々のグループ。イ・ヨンエの父はどちらにも属さず南米に渡ったという設定です。

 写真で見る板門店と、この映画に出てくる板門店はほとんど同じ。よくできたセットです。

 帝国書院の教科書『世界史A』の最後のページにも紹介されている映画です。


 シネマコリア http://cinemakorea.org/korean_movie/movie/jsa.htm





JSA [DVD]

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  • 出版社/メーカー: 東芝デジタルフロンティア
  • メディア: DVD



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『学生が語る 戦争・ジェンダー・地域』(法律文化社) [歴史関係の本(小説以外)]

 福岡大学人文学部歴史学科西洋史ゼミ編著によるこの本は、学会(七隈史学会)で同ゼミの学生たちが報告した内容をまとめたものです(2006~2008年の3年分)。学部生が学会で発表というのは、かなり勇気がいることだったと思います。

 報告はグループ単位で行い、1つの報告には6~7名の学生が参加しているようです。

 タイムマシンで過去に行くことができるのならばともかく、ずっと昔に何があったのかを正確に知ることは不可能です。ですから、教科書に書かれていることは、最も確からしいことということになるでしょう。「最も確からしいこと」に至るためには、コミュニケーションが不可欠です(小田中直樹先生は「コミュニケーショナルに正しい認識」という言葉を使っています)。もっとも、コミュニケーションに至るまでには相当な準備が必要であり、またこうしたコミュニケーションが「和気藹々」としたものになることは少ないのは、皆さんご存じの通り。その意味で、この本は彼らの格闘の記録とも言えるでしょう。

 書かれている内容は、高校の世界史の内容を知っておくと理解できるような内容なので、大学で歴史を学ぶとはどういうことかを知るという点でも、史学科をこころざす高校生に読ませたい本です。

 森谷公俊『学生をやる気にさせる歴史の授業』を読むと、大学の史学科ではどんな授業が行われているのか、大学の先生も苦労しているのだなぁというのがよくわかります。高校の授業で使えるか否かは別として、かなりおもしろい本でした。なかでも、添削と要約については、小論文の指導に役立ちました。あわせて読むとおもしろいと思います。

  福岡大学人文学部歴史学科 星乃治彦先生のゼミ http://www.cis.fukuoka-u.ac.jp/~hoshisemi/

福岡大学「地域」叢書 準備号 「地域」(七隈、福岡、東アジア)と生きる福岡大学という報告書は、面白そうですね。



学生が語る戦争・ジェンダー・地域

学生が語る戦争・ジェンダー・地域






学生をやる気にさせる歴史の授業

学生をやる気にさせる歴史の授業

  • 作者: 森谷 公俊
  • 出版社/メーカー: 青木書店
  • 発売日: 2008/04
  • メディア: 単行本



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ベラスケスの絵をデザインした切手 [モノ教材(切手)]

 ベラスケスが描いたマルガリータ王女の肖像画は以前紹介しましたが、その切手です。ただしこれは「青い服」です。

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 デザインは同じながら、上はスペインで、下はオーストリアで発行されたもの。「青い服のマルガリータ」は」オーストリアのウィーン美術美術館、「女官たち」はスペインのプラド美術館にそれぞれ収蔵されています。

 私は『スタンプマガジン』で購入しましたが、郵趣サービス社のホームページから買うことができます。
[http://www.yushu.co.jp/shop/g/g443145/]

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『マイケル・コリンズ』(ニール・ジョーダン監督、1996年、イギリス・アメリカ・アイルランド合作) [歴史映画]

 独特のゲリラ作戦によってイギリスの支配に抵抗した、アイルランド独立運動の指導者マイケル・コリンズを描いた作品。監督は『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』のニール・ジョーダン、主人公マイケルコリンズは『シンドラーのリスト』のリーアム・ニーソン(『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』のクワイ=ガン・ジン、『キングダム・オブ・ヘブン』ではオーランド・ブルームの父イベリン卿で重厚な役を演じた)、マイケルと対立するエイモン・デ・ヴァレラはアラン・リックマン(ハリー・ポッター・シリーズのスネイプ先生~ダイ・ハード・シリーズの1作目ではビルを占拠したグループのリーダーだった)。また、デ・ヴァレラにマイケル来訪を告げる少年は、無名時代のジョナサン・リース=マイヤーズ。監督以下4人ともアイルランド系で、ジョナサンは舞台となったコークの出身です。

映画の概要(ストーリー、現実との相違点など)はWikipediaを参照


 教科書でには「アイルランドは、1922年、北部のアルスターをのぞいてアイルランド自由国として自治領となった。」とわずか1行半の記述ですが、このとき結ばれた英愛条約をめぐってシン・フェイン党とアイルランド共和軍(IRA)は分裂、アイルランドは事実上の内戦に突入しました。条約締結を推進したマイケルらに対し、完全独立を主張する反対派の中心は、かつての盟友デ・ヴァレラ。苦悩するマイケルは、内戦終結をめざしてデ・ヴァレラ派との話し合いに向かう途中、反対派の襲撃を受けて非業の死をとげてしまいます。享年31歳。

 豪華なキャストで重厚なストーリーを語る作品で、私は大傑作だと思います。シネイド・オコナー(彼女もアイリッシュ)が歌うトラッドもすばらしい。U2の「ブラディ・サンデー」や、シンプル・マインズの「ベルファスト・チャイルド」などが思い出されます。そういえば、ロックオン・ストラトスもアイルランド出身でしたね。

  
映画「マイケル・コリンズ」のダブリン歴史名所:http://www.inj.or.jp/seanachai/experience/06mcollins.html




マイケル・コリンズ 特別版 [DVD]

マイケル・コリンズ 特別版 [DVD]

  • 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
  • メディア: DVD



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今年の東大の第1問 [大学受験]

 ある予備校の分析にある「『世界史における役割』が読み手にわかるようにメリハリをつけて書くことが大事。」という指摘には同感。

 要求は「都市・産業・交易・経済・文化・人材・海外進出」で「オランダおよびオランダ系の人びとの世界史における役割」なので、以下のような点があげられるでしょう。
17世紀:世界経済の中心、宮廷文化に対して市民文化の発展、亡命者の受け入れ
    鎖国下の日本に海外情報を提供
    グロティウスが国際法を主張し、主権国家体制を促進
19世紀:南ア戦争が帝国主義時代における国際関係再編の契機となる
20世紀:太平洋戦争で連合軍の勝利に貢献
    ECの原加盟国として独仏とともにヨーロッパ統合を推進

 ネット上の解答例は「流れ」を叙述しているだけのように思いますが、それだけでは不十分なのではないでしょうか?「役割」が述べられているのはKだけのように感じます。
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社会認識を問う問題 [現代社会ネタ]

 今年は大分大学受験する生徒の小論文をみていたのですが、うち2人が「社会認識を問う問題」で受験するので、答案を見てほしいと言ってきました。なんでも赤本には解答例が載っていないとのこと。問題を見てみたところ、次のような問題でした。いずれも問1と問2の2問構成で、問1はデータ・統計の読み取り、問2は自分の考えを述べる問題です。
 2009年:家電リサイクル
 2008年:雇用問題
 2007年:防災意識を高める取り組み

 これらの問題は、森分孝治氏の考えに基づいた出題だと思います。「読み取り」→「問いの設定」→「説明」、そして可能ならば「解決策」という型にはめれば大丈夫でしょう。 今年大分大を受けたウチの生徒も、書けたようでした。どんな問題だったのでしょうか。
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ナショナリズムにもとづく二つの動き2 [大学受験]

昨日の問題の解答例と加点ポイントです。

フランス革命やロマン主義の影響下で生まれたナショナリズムは、19世紀初めイタリアのカルボナリやドイツのブルシェンシャフトの運動などに見られたが、いずれもウィーン体制のもとで鎮圧された。しかし1829年にギリシアがオスマン帝国からの独立を達成すると、1830年の七月革命の際には、オランダからベルギーが独立し、ポーランドでもロシアからの独立運動がおこるなどナショナリズムが高まった。1848年の二月革命では、オーストリアでチェック人やコッシュートに指導されたマジャール人の独立運動が起こる一方、ドイツでは統一を目指してフランクフルトで国民議会が開催された。またポーランド、イタリアでも独立運動がそれぞれ起こった。こうしたナショナリズムの高揚は、国民国家建設の気運を一層強め、サルディーニャ王国を中心に統一をすすめたイタリアでは、1861年にイタリア王国が成立した。ドイツではプロイセン王国を中心に統一がすすめられ、1871年にドイツ帝国が成立した。この間プロイセンに敗北してドイツの統一から除外されたオーストリアは、領内のマジャール人に自治を認め、オ-ストリア=ハンガリー帝国となった。19世紀はじめにイギリスに併合されたアイルランドは根強い独立運動を展開していたが、19世紀を通じて自治要求が高まり、19世紀後半にアイルランド自治法が提出されたが成立せず、独立運動はいっそう激化した。(580字)


【加点ポイント】
・フランス革命とロマン主義の影響でナショナリズムが生まれる        2点
・19世紀はじめ、イタリアのカルボナリやドイツのブルシェンシャフトの運動  3点
        (イタリア・ドイツがない場合は減点)
・オスマン帝国からギリシアが独立                     2点
        (「オスマン帝国から」がない場合は減点)
・七月革命時、オランダからベルギーが独立、ポーランドの独立運動      3点
       (「オランダ」がない場合は減点)
・二月革命時、コッシュート指導によるマジャール人(ハンガリー)の独立運動 3点
・ 〃   、ドイツにおけるフランクフルト国民議会            2点
・1861年、サルデーニャを中心にイタリア王国成立              3点
    (サルデーニャの代わりに他の語句でも加点)
・1871年、ビスマルクの指導によるドイツ王国成立 2点
    (年号の代わりに他の語句でも加点)
・普墺戦争後、マジャール人に自治を与え、オーストリア=ハンガリー帝国が成立 3点
・アイルランド自治法が成立しなかったアイルランドで独立運動激化      2点

〈以下の記述にも加点〉※上限は3点
オスマン帝国支配下のバルカン半島では、パン=スラウ主義の高まりとも相まって露土戦争を契機にルーマニア・セルビア・モンテネグロが独立した。
その他、スラヴ民族会議(二月革命時)やグラッドストンによるアイルランド自治政策など。




さて、次の問題は一昨年校内模試用につくっておいたものの、転勤によりボツになった問題です。

 1877年にインド帝国が成立し、インドは完全にイギリスの植民地となった。しかし20世紀にはいると、インドにおける反英運動は活発化し、自治や独立を求める運動が高まった。1900年代から1930年代半ばまでのインドにおける民族運動の動きを、以下の語句を用いて600字以内で説明せよ。以下の語句は、文中で最初に使用した箇所に下線をひくこと。

 日露戦争   カルカッタ大会 ラホール大会  ネルー  「非協力運動」
 第一次世界大戦

【解答例】
イギリスはインド人を支配に協力者とするため、1885年に親英的なインド国民会議を発足させた。20世紀にはいり民族運動が高まると、イギリスは1905年にベンガル分割令を発して運動の分断をはかった。これに対して国民会議派は、日露戦争における日本の勝利の影響もあり、急進派のティラクの指導のもと反英運動を展開し、1906年のカルカッタ大会では英貨排斥・スワデーシ・スワラージ・民族教育の4綱領を決議して、イギリスに対する対決姿勢を明確にした。ヒンドゥー教徒主体の国民会議に対し、ムスリムは運動の分断をはかるイギリスの政策にそって、親英的な全インド=ムスリム連盟を結成した。その後運動は沈静化したが、第一次世界大戦後に民族自決の動きが高まると、反英運動は再び高まりをみせた。イギリスが戦後の自治の約束を守らなかったばかりか、1919年にインド統治法やローラット法を発したことにインド民衆は反発し、「非協力運動」を説くカンディーを指導者として反英運動を展開した。その後民族運動は一時停滞したが、1920年代後半から再び活発化し、国民会議派は急進派のネルーらの指導で1929年のラホール大会においてプールナ=スワラージを決議した。30年代から再びガンディーも民族運動に復帰したが、イギリス側の弾圧とムスリム・ヒンドゥー両教徒の対立などにより運動は停滞し、35年に発表された新インド統治法も自治とはほど遠い内容であった。(593字)

【加点ポイント】
・発足当初の国民会議が親英的であったこと 2点
・ベンガル分割令を契機に民族運動が高まる 2点
・急進派ティラクの指導 1点
・4綱領 すべて書けて  3点
・親英的な全インド=ムスリム連盟の結成 2点
・第一次世界大戦後、イギリスが自治の約束を守らなかったこと 2点
・1919年のインド統治法 1点
・ローラット法     2点
・ガンディーの活躍   1点「
・プールナ=スワラージ 1点
・新インド統治法  1点
・運動停滞の理由として、ヒンドゥー・ムスリムの反目 1点
・指定語句の使用 各1 6点

その他
 アムリットサール事件、英印円卓会議など




 明後日から国公立大学の前期日程試験で、今日でようやく直前授業が終了。毎日連続2コマで、加えて小論文の指導を4人抱えていたので結構疲れました。今年世界史の論述で受験するのは2名。二人とも合格してほしいものです。
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ナショナリズムにもとづく二つの動き [大学受験]

 熊本高校の校内模試のために作った問題です(平成19年の11月に実施しました)。リード文の元ネタは、『世界史論述問題の解き方』(山川出版社)の56ページに載っている聖心女子大学の問題。


  近・現代において、ヨーロッパの国の数は1870年に最小となり、国境線地図は最も簡単な形となる。その後半世紀の間は、反対に国の数が増え、国境線は複雑化する。こうした国家の統合と分裂の動きを推し進めた思想・運動がナショナリズムである。この言葉に相当する日本語には国民主義という言葉もあるが、一般的には民族主義という言葉があてられる。このように英語では一つの単語が、日本語ではいくつもの単語に使い分けられることがあるのは、この思想・運動が、「統合と分裂」という正反対の作用をもたらすからである。
 19世紀のヨーロッパにおけるナショナリズムの展開について、以下の語句を用いて600字以内で述べよ。使用した語句には、最初に用いた箇所に下線を付せ。


 七月革命      フランクフルト     ロマン主義    1861年
 アイルランド自治法    コッシュート   ブルシェンシャフト  ポーランド

 解答例と採点基準は明日掲載します。


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ベトナム戦争とカウンター・カルチャー [大学受験]

 2007年の東京外語大の問題です。


 ヴェトナム戦争が世界の政治、経済、社会それぞれの分野に与えた影響について、400字以内で説明しなさい。その際、以下の語句を必ず使用し、用いた箇所すべてに下線を引きなさい。(20点)

    反戦運動   キング牧師   カウンターカルチャー   多極化   ドル危機





 ベトナム戦争の影響に関しては、2000年に一橋大学でも出題されています。


 次の文章は、アメリカ合衆国のジミー・カーター大統領が1977年5月22日におこなった演説の一部です。これを読んで、下記の問1、問2に答えなさい。


 わが国の未来が揺るぎないことを確信しているゆえに、現在われわれは共産主義に対して過度の恐怖を抱いていない。かつてはその恐れのために、独裁者であっても、われわれと同じ恐れを抱いている者とは手を結ばざるをえなかったのである。あまりにも長い年月、われわれはみずから敵対者の不完全で誤った原則や戦術を取り入れようと努め、ときには彼らの価値観を受け入れて自分自身の価値観を放棄した。われわれは火と戦うのに火をもってし、火は水をもって消す方が良いことに気がつかなかった。

 このような方策は失敗に終わった。知性と道義心に欠けたその方策がもたらした最悪のものがヴェトナム戦争であった。しかし失敗を通じてわれわれは今や自分自身の原則と価値観に立ち帰る道を見いだし、失った自信を取り戻したのである。 (有賀 貞 訳)


問1 この演説の背景となったアメリカ合衆国のヴェトナム戦争介入の歴史(1954~75年)について、その原因と結果を具体的に述べなさい。(200字以内)

問2 ヴェトナム戦争介入がアメリカ合衆国の社会と対外関係に与えた影響を具体的に述べなさい。(200字以内)


 古くは、1987年に東大でも次のような問題が出題されています。


朝鮮戦争とヴェトナム戦争の原因・国際的影響・結果について、両者を比較しながら18行以内で記述せよ。





 一橋や東大のこうした問題を見ると、中谷臣『世界史論述練習帳』にある通り、結果と影響って違うのだなぁと実感します(予備校が出した解答例を見るとわかりますが、実は両者の峻別を意識した解答例は実に少ない.....というより皆無?)。


 3問はそれぞれに異なる部分・重なる部分ともにありますが、今回は東京外大の問題に注目。まずは指定語句を要求通りのカテゴリーに分けてみましょう。「多極化」は政治、「ドル危機」は経済、「カウンター・カルチャー」は社会でいいでしょうね。ただし、要求は「世界の政治、経済、社会それぞれの分野に与えた影響」ですから、ドル危機をアメリカ国内の話で終わらせないように。この点がアメリカ合衆国の社会と対外関係に与えた影響」を問うている一橋の問題と違うところ。

 「キング牧師」と「反戦運動」はどうでしょうね?この2つ、私は「政治」にするか「社会」にするか迷いました。キング牧師について、公民権法制定という点を強調して政治とするか、公民権法が人種のみならず宗教、性、出身国による差別を禁止したという社会問題の解決をめざした点を強調して社会のカテゴリーにするか。反戦運動については、政府への反体制運動という点に注目して政治にするか。いやフラワー・ムーブメントや担い手のフラワー・チルドレン(東京書籍の教科書に写真が載っています)に注目すると社会のカテゴリーのような気もする。いやフラワー・ムーブメントやウラワー・チルドレンはヒッピー文化なので、カウンター・カルチャーだろう.....。迷いますね。


 これは政治・経済・社会に分けて書くことが難しい問題です。そもそも「60年代にはベトナム反戦運動と結びついて、黒人の人種差別撤廃を求めるキング牧師らの公民権運動や過激な都市暴動が、アメリカ社会を大きく揺るがした。」(山川の『新世界史』)のですから、ベトナム戦争後に起きた動きは政治・経済・社会のいずれにも関わる側面を持っていたように思います。たとえば帝国の教科書には、「カウンター・カルチャー」というコラムがあり、カウンター・カルチャーは公民権運動の産物であると書いてある。ならばいっそのこと、分けずに書いたらどうか。「政治では.....。経済では.....。社会では.....。」とカテゴリー分けして書ければスッキリするんですがね。苦肉の策として、逆につながりを強調した論述にしてみました。


 「国際政治・経済」と「国際社会」の二つのカテゴリーをつくるというのが方針。

1.ドル危機によるアメリカの経済力低下が、変動相場制や多極化、米中接近などにつながった。

2.反戦運動が公民権運動と結びつく一方、両者はカウンター・カルチャーを生み、世界に広がった。


つくってみたのが、以下の解答例。

ベトナム戦争は、アメリカに深刻な財政赤字をもたらし、ドルの基軸通貨としての信用は低下、ドル危機が進んだ。このため1971年にアメリカはドルと金の交換を停止したが、これはブレトン=ウッズ体制の動揺を招き、73年に為替相場は変動相場制へと移行した。また軍事産業中心のアメリカ経済は家電などで日本などとの競争に敗れ、67年のEC結成とも相まって多極化が進んだが、この変化は、アメリカと中国との関係改善にもつながった。一方、米軍の北爆や残虐行為の報道は、徴兵対象者であった若者を中心としたアメリカ国内の反戦運動を盛り上げた。反戦運動は、キング牧師に指導された黒人公民権運動とも結びついて広がり、ウッドストックやフラワー・チルドレンなどヒッピー文化に代表される反体制的なカウンター・カルチャーを生み出した。この動きは世界中に広がり、フランスでは1968年の五月危機でド=ゴールは退陣を余儀なくされた。


「世界の政治、経済、社会それぞれの分野に与えた影響」の「世界の」という点はかなり強調したつもりです。ちなみに、この解答例をつくる上で役立ったのは、東京書籍と帝国書院の教科書。ウッドストックは69年なので、五月危機(68年)の一年前ですが、ウッドストックには触れておきたかったので使ってみました。「ドラッグやフラワー・ムーブメントなどのヒッピー文化」とか、ステレオタイプですが「セックス・ドラッグ・ロックンロール」でもよかったんですがね。


 旺文社の『全国大学入試問題正解』に掲載されている解答例は、「政治面では....経済面では.....社会面では....」という書き方になっており、政治で「反戦運動」と「多極化」、経済で「ドル危機」、社会で「反戦運動」と「カウンター・カルチャー」を使っています。この解答例がよくない点は、「多極化をさらに加速」「」戦後の世界経済に転換点をもたらした」「その後の文化に影響を与えた」というふうに、世界への影響が単なるつけ足しになっている点。メインの要求は世界への影響でしょう?ここの具体例がしっかり書ければ、よい答案になったはず。東京書籍と帝国書院の教科書には、五月危機や米中国交正常化などがベトナム戦争との関係で述べられています。

 カウンター・カルチャーについては、奇しくも2007年のセンター試験現代社会に「既存の社会の価値観に対抗するという傾向が強く,物質文明を否定して自然回帰を呼び掛けたヒッピーなども含まれる。」(第6問)とピンポイント出題。東京外語大の受験生なら「カウンター・カルチャーなんて知らないよ」なんて言わないこと。

 でも東書の教科書には「ウッドストック」というコラムがあるのには驚き。このイベントのドキュメンタリー映画を、私は高校生の頃に見ました(リバイバル上映ですが)。熊本市新市街にあったシネロマンという小さな映画館でした(今のDENKIKANがあるところ)。同時上映が「レッド・ツェッペリン狂熱のライヴ」で、もちろんツェッペリンの方が本命。しらないミュージシャンばかりで、「はやく終わんねかな~ツェッペリン見せろよ~」と思いながら観た記憶があります。なんとも長い映画で、ラビ・シャンカールのあたりで寝てしまいました。

 昨年はこのウッドストック・フェスティバルから40周年ということで、DVD・CDともに豪華な記念盤がリリースされています。雑誌『ストレンジ・デイズ』昨年の10月号は、表紙はビートルズなのに巻頭特集はウッドストック40周年でした。DVDに新たに加わった蔵出し映像(ディスク4)の最初は、ジョーン・バエズ。反戦フォークの旗手として、ウッドストック初日のトリだったそうですが、私が大学生のときに見たライヴ・エイドでは、60年代のカウンター・カルチャーのノリで出てしまい、見事にズッコケてました。ウッドストックというと、やはりジミ・ヘンドリックスの演奏でしょうね。ウッドストックでのジミヘンのアメリカ国歌とか、カウンター・カルチャーの例として聞かせるといいかも。映画だったら、トム・ハンクス主演の『フォレスト・ガンプ』がオススメです。





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西ヨーロッパ世界の形成とキリスト教 [大学受験]

筑波大学の2007年の問題です。

 十字軍の運動が始まる頃には、西ヨーロッパ世界はローマ=カトリック教会の下で統合され、独自の文明として自己を主張し始めたように見える。だがキリスト教会は古代ローマの時代から着々とその組織づくりをおこなってきていた。このキリスト教会の動きに注目しながら、十字軍が開始されるまでの西ヨーロッパ世界の形成について、以下の語句を用いて説明しなさい。


 イスラム教徒  クローヴィス  聖像禁止令  ニケーア公会議  800年






 難関大学受験生に論述の指導をする際、「ダメな解答例のダメな点を指摘させる」というのは有効な方法でした。赤本や『東大合格のための世界史』その他モロモロの参考書に載っている解答例を示し、「この解答例だと100点満点で60点。ダメな点を指摘してごらん。」とやるわけです。今年は論述が必要な生徒は2人しかいないのですが、先日使ったのはこの問題です。


 使ったダメ解答は赤本の解答例。赤本の解答例の拙い点は、記述が1054年の東西両教会の分離で終わっている点です。なお予備校Yが出した解答例はもっとひどく、「フランク王国の分裂後、西ヨーロッパでは封建社会が成立したが、11世紀になると生産力の増大で余剰生産物も増え、商業が活発化して西ヨーロッパ世界の対外進出機運が高まった。」という記述で終わっています。ダメ度としてはこちらのほうが上。なおKとSは筑波の世界史の解答例を出していません。東大や京大だけでなく、東京外大や筑波の問題に対してどれくらいの解答例を出せるかが予備校の指導力の見せ所だと思いませんか?


 さて、赤本の解答例に欠けているのは何でしょう?それは叙任権闘争です。「キリスト教会の動きに注目しながら、十字軍が開始されるまでの西ヨーロッパ世界の形成について」説明するのであれば、叙任権闘争に触れないわけにはいきません。西ヨーロッパ世界は800年のカールの戴冠で成立したとされますが、「十字軍が開始されるまで」という要求から、教皇皇帝主義のもとにあった東ヨーロッパとは異なり、聖権と俗権が分離していた西ヨーロッパでは叙任権闘争がおこり、教皇は十字軍を提唱することで教会主導による西ヨーロッパの統合をめざしたということまで書くべきでしょう。2002年の一橋大の問題文にあるように、「第1回十字軍の間にもなお教会改革をめぐる争いが続けられていた、ということを忘れてはいけない。」のです。なお、旺文社の『全国大学入試問題正解』掲載の解答例は、叙任権闘争のことも書いてあります。指導法としては、2つ示して「どっちがいいと思うか」というのも面白いかも。

 一応解答例。
325年にニケーア公会議で正統とされたカトリックは、392年にローマ帝国の国教となり、教会と帝国の結びつきが強まった。476年西ローマ帝国は滅亡したが、まもなくフランク国王クローヴィスがカトリックに改宗し、カトリック教会と結びつきを強めた。8世紀にはビザンツ皇帝レオン3世による聖像禁止令発布に反発したカトリック教会は、トゥール=ポワティエ間の戦いでイスラム教徒を撃退したフランク王国との提携を進めた。そして800年にローマ教皇はフランク王国のカール大帝にローマ皇帝の帝冠を授け、これにより西ヨーロッパ世界が成立したが、カールの死後フランク王国は分裂した。962年、カトリック教会は東フランク国王オットー1世に帝冠を授け、東フランク王国は後に神聖ローマ帝国と呼ばれるようになった。しかし、11世紀には皇帝と教皇は叙任権闘争で対立し、教皇は教会主導による西ヨーロッパの統合を目指し、十字軍を提唱するに至った。

 リード文に「キリスト教会は古代ローマの時代から着々とその組織づくりをおこなってきていた」とあるので、ローマ帝国による迫害の下でも、キリスト教徒は教団の組織化をすすめたことから書き始めたかったんですが、字数が足りませんでした。もっといいプランがあれば、どなたかフォローを。


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学校訪問 [たんなる日記]

 福岡県の高校3校(城南高校・春日高校・明善高校)を訪問してきました。学校訪問は、3年ほど前に高崎高校・前橋高校・宇都宮高校に行かせてもらって以来です。
 城南高校(校舎が広くて綺麗!展望もよかったです)は「ドリカムプラン」で全国的に有名な学校。ウチ以外に東京・滋賀・広島からも訪問に見えていて、4校合同でお話をうかがいました。春日高校もキャリア教育に力を入れておられて、それぞれに興味深いお話をうかがいました。明善は歴史と伝統を感じさせる学校で、「午睡の時間」があるそうです。総合文化コースには「世界文化史」という特設教科がありました。それぞれの学校で世界史の先生方からお話を伺うことができ、たいへん勉強になりました。
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『ザ・ハリケーン』(ノーマン・ジュイソン監督、1999年、アメリカ) [歴史映画]

映画ストーリー(キネ旬DB) http://www.kinejun.jp/cinema/%E3%82%B6%E3%83%BB%E3%83%8F%E3%83%AA%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%83%B3

 アメリカで起こった冤罪事件であるルービン・カーター事件を題材に、ハリケーンことルービン・カーターの半生を描いた作品。エンターティメント性が低く、とくに後半は淡々と進む印象が強いため地味な印象を受ける作品です。しかしながら、「正義とは何か」「人間の尊厳とは何か」を問いかけるすばらしい人間ドラマだと思います。映画と事実は異なるという点もいくつかあるようですが(http://graphicwitness.com/carter/#moviegraphics)、映画である以上100%事実ということがありえないのはわかりきったこと。

 見所はデンゼル・ワシントンの演技。ボクサー時代は野性味あふれ、投獄後は年齢を重ねてからは哲学者という演技力には舌を巻くばかりです。とくにラストで連邦裁判所での休廷時、レズラに語るシーンは感動的でした。
IMG_2812.jpg

 ボブ・ディランアルバム『欲望』のオ^プニング・ナンバー「ハリケーン」は、この映画の主人公ルーブン・"ハリケーン"・カーターのことを歌った曲。映画の中にも、ボブ・ディランがこの曲を歌うシーンが出てきます。

 明日から2日間、福岡方面の高校を見学に行ってきます。訪問校では、使っている教科書や資料集、課外のテキストなどを尋ねてきたいのですが、カリキュラムをどうするかということも。九州大学法学部が地歴2科目を課すことの影響は?


 
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『フロム・ヘル』 [マンガ]

from_hell.jpg


 19世紀末のロンドンを騒がせた連続殺人鬼「切り裂きジャック」を題材としたコミックで、原作は『Vフォー・ヴェンデッタ』の原作者アラン・ムーア(ガイ・フォークスも出てきますよ)、作画はエディ・キャンベル。ジャンル的にはコミックというより、グラフィックノヴェルに分類される作品で、日本のコミックとはかなり趣が異なります[http://www.msz.co.jp/news/topics/07491;07492.html]。本国では1991年から1996年にかけて刊行されましたが、邦訳は2009年10月にようやく刊行されました[http://www.fromhell.jp/]。

 絵の雰囲気とストーリーに嫌悪感を感じる人もいるかもしれませんが、エレファントマンやフリーメイソン、クレオパトラの針などヴィクトリア時代の世紀末を彩ったテーマが数多く登場します。中でもマニアックな登場人物が、W.B.イェイツ。彼を登場させ、黄金の夜明け団触れることで、この時期に流行した神智学・黒魔術的傾向をよく表しているように思います。
 その他さまざまな仕掛けがありますが、驚くのは当時のロンドンの地理をはじめ、殺人の状況など残っている記録と照らし合わせるとほぼ正確に書かれていること。ここまでやるか、という感じです。なお、日本でも人気が高いアメリカの女性推理作家パトリシア・コーンウェル(検屍官ケイ・スカーペッタをヒロインとするシリーズで有名)は、この作品にも登場する画家ウォルター・シッカートが切り裂きジャックの正体とする説を発表しています。

 圧巻は、ガルがロンドンを移動しながらその歴史と建築物の意味を語る第4章。これをすべて理解するには、かなりの知識を必要としますが、その語りの中から浮かび上がる彼の行動真の意味は、もはや狂った哲学です。
 死体を切り刻んでいたガルが未来社会を幻視する第十章、異形の怪物(幻視者ウィリアム・ブレイクが描いた「蚤の幽霊 The Ghost of a Fle」)となった臨終間際のガルが、時空を超えていく十四章は、切り裂きジャックが二十一世紀の現在も多くの人の興味を引きつけている様を暗示しているのでしょう。付録もすごい。


 この作品を映画化したのが、タイトルも同じ『フロム・ヘル』(2001年、アメリカ、ヒューズ兄弟監督)。その映像美と独特の雰囲気、当時の社会の忠実な再現といった面でとてもよく出来た作品です(過激なシーンがあり、Rー15指定です)。主演はキャプテン・ジャック・スパローのジョニー・デップ。新年度から発行される、とうほうの世界資料集『世界史のパビリオン』(写真・図版・オモシロ記事が多くていい資料集だと思いますよ)には、この映画が紹介されており、ジョニー・デップの写真が掲載されています。彼が演じるのは、アヘンに耽溺するアバーライン警部。彼を主役にしたところが原作とは大いに異なりますが、妻子を亡くして虚無的になったアバーラインをジョニー・デップが好演しています。ガル博士を演じるイアン・ホルム(『エイリアン』の1作目でノストモロ号の乗組員~実はアンドロイド~役を演じる)、アバーラインを助けるゴットレイ巡査部長を演じるロビー・コルトレーン(『ハリー・ポッター』のハグリッド)の二人は、ともにケネス・ブラナーの『ヘンリー5世』で堅実な演技を見せていた俳優です。エレファントマンが「ジョセフ・メリック」と紹介され、「ジョンです」と訂正するシーンは、ジョゼフという名前が担当医師の誤記により「ジョン」という名で広がったことに由来しています。


「切り裂きジャックのDNA鑑定」
  (関西医科大学法医学講座/関西医科大学大学院法医学生命倫理学研究室)
   http://www3.kmu.ac.jp/legalmed/DNA/jtr.html
 ※このウェブには、その他にも興味深いトピックが多数有り。
http://www3.kmu.ac.jp/legalmed/DNA/dnatopics.html
http://www.din.or.jp/~grapes/jackandbetty/116th.html



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『ガンジー』(1982年、イギリス・インド合作、リチャード・アッテンボロー監督) [歴史映画]

 子供の頃、『ゴールデン洋画劇場』などで何回も見たスティーヴ・マックィーンの『大脱走』。その『大脱走』でビッグXを演じていたのが、この作品の監督であるリチャード・アッテンボロー。3時間以上ある長い作品で、途中で休憩時間がはいりますが、アカデミー賞では作品賞をはじめ、監督賞・主演男優賞・脚本賞・撮影賞・美術監督・装置賞・衣装デザイン賞・編集賞と9部門を受賞した名作。後半でガンジーを取材する女性カメラマン、マーガレット・バーク=ホワイトを演じるのは『ソルジャー・ブルー』のキャンディス・バーゲン。

 第一次世界大戦後のローラット法とアムリットサル事件、塩の行進、ジンナーとネルーそしてガンジー三者の関係(インドとパキスタンの分離)、そしてイギリスの産業革命がインドに与えた影響、さらにシク教とゴールデン・テンプルなど教科書的な知識で十分なので、予備知識を持って見てほしい映画です。

 映画でもっとも驚いたのは、主演のベン・キングズレー(元シェークスピア劇の舞台俳優)が「ガンジーの復活」といえるような迫真の演技。彼はこの作品でアカデミー賞の主演男優賞を受賞していますが、まったくふさわしい演技です。DVDに収録されているインタビューで、「当時の映像を見て役作りをした」と語っていますが、同じくDVDに収録されている当時のニュース映像を見ても本当によく似ています。私の中ではデンゼル・ワシントンのマルコムXと並ぶ「なりきり演技」のベストです。映画の中で、法廷にガンジーがはいってくると、裁判長以下傍聴者まで全員が起立してガンジーを迎えるシーンがありますが、本物のガンジーが入廷したかのようでした。

 映画でも示されていますが、ガンジーの行動が大きな影響を及ぼしたのは、映像メディアの発達が大きく寄与しています。2003年の東大入試問題・第1問

「 私たちは、情報革命の時代に生きており、世界の一体化は、ますます急速に進行している。人や物がひんぱんに往きかうだけでなく、情報はほとんど瞬時に全世界へ伝えられる。この背後には、運輸・通信技術の飛躍的な進歩があると言えよう。  歴史を振り返ると、運輸・通信手段の新展開が、大きな役割を果たした例は少なくない。特に、19世紀半ばから20世紀初頭にかけて、有線・無線の電信、電話、写真機、映画などの実用化がもたらされ、視聴覚メディアの革命も起こった。またこれらの技術革新は、欧米諸国がアジア・アフリカに侵略の手を伸ばしていく背景としても注目される。例えばロイター通信社は、世界の情報をイギリスに集め、大英帝国の海外発展を支えることになった。一方で、世界中で共有される情報や、交通手段の発展によって加速された人の移動は、各地の民族意識を刺激する要因ともなった。  運輸・通信手段の発展が、アジア・アフリカの植民地化をうながし、各地の民族意識を高めたことについて、下記の9つの語句を必ず1回は用いながら、解答欄(イ)を用いて17行以内で論述しなさい。   スエズ運河  汽船  バグダード鉄道  モールス信号  マルコーニ   義和団  日露戦争  イラン立憲革命  ガンディー」

で、指定語句に「ガンディー」がはいっている理由は、この映画を見るとよくわかります。

 一般に「非暴力・不服従運動」といわれるサッティヤーグラハが山川の『詳説世界史』で「非協力運動」ど表記されていることに違和感を感じていたのですが、この映画を見て、受け身のイメージを与える「非暴力・不服従運動」より、抵抗のニュアンスが強い「非協力運動」の方がよいようにも思えました。







 
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NHK「よみがえる第二次世界大戦 ~カラー化された白黒フィルム~」 [歴史ドキュメンタリー番組]

 録画しておいた番組。NHK 総合テレビで12月21日より3夜連続で放送されました。もともとは8月にBSで放送された番組ですが、ウチにはBSアンテナがないので、今回始めて見ることができた番組です。

 番組ホームページhttp://www.nhk.or.jp/frontier/warandpeace/0816.html

 この番組は、残されている第二次世界大戦当時の白黒フィルムを1フレーム単位で着色し、よりリアリティーのある映像にしようという試みですが、実に自然ですばらしい仕上がりです。フランスのCC&C と国営フランス2チャンネルによる制作で、原題は「APOCALYPSE - The Second World War( 黙示録 -第二次世界大戦)」。興味深いフィルムをいくつかあげると、マジノ線、ダンケルクの撤退、スターリングラードの攻防、ミッドウェー海戦、ノルマンディー上陸作戦など。その他、ソ連の地雷犬、捕虜となったフランスの植民地兵(プロパガンダ)なども衝撃的。とてもよいドキュメンタリー番組だと思います。
 
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征露丸(その2) [モノ教材(その他)]

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 以前ブリキ缶の征露丸を見つけましたが[http://zep.blog.so-net.ne.jp/2008-05-26]、今回見つけたのは紙製ケース。めずらしいことに未開封のものですが、表の商品名は「征服丸」で、裏には「征露丸」とあります。Yahoo!のオークションで1000円でした。箱には「改名理由」が書いてあり「大審院判決:征露の文字は国際の通義に反す 大正十五年六月廿八日決定」ということです。定価は1円で、大阪にあった帝国戦友共済会という団体が発売しています。箱には「本団員に限り販売を許可」と書いてありますが、真偽のほどは定かではありません。
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 大審院が下した「征露丸」の名称に関する判決(裁判所のホームページより) ※2ページに記述があります。
 http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/59B0A51BBE01C99C49256A76002F89EF.pdf

 奈良県の日本医薬品製造株式会社は、今でも「征露丸」の名前で販売しています。


 前回のジョージアポイントプログラムは、ニンテンドーDSを狙ったのですが、120ポイント近く費やしたにもかかわらず、すべてハズれでした。今回は5ポイントで応募できるSONYウォークマンを狙い、18回目で当選でした。やはり、短時間に大量に応募するのがいいようです。

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四書の和本 [モノ教材(その他)]

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 『論語』3冊と『大学』『中庸』各1冊の計5冊で2800円でした。

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奥付にある「河内屋儀輔」という発行者名から判断すると、1830~40年代に大阪で発行されたもののようです。木版印刷が美しいことには驚かされます。


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教材として使うならば、朱熹の名が確認できるうえ、漢文の授業で生徒にもおなじみの『論語』がよいと思います。

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寺子屋などで何人もの子どもたちがこれを手本に文字を書いていたのでしょう、表紙はぼろぼろで補修したあともあります。落書きも面白い。



最近は論語が静かなブームだとか。
http://news.www.infoseek.co.jp/entertainment/story/20091018jcast2009251505/


明日は菊池高校で開催される熊本県の地歴・公民科研究会に行ってきます。今年の夏に大分で発表した「実物教材」をもう一度(内容は少し手直ししていますが)発表することになっています。




こども論語塾―親子で楽しむ

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イギリスの切手~THE AGE OF LANCASTER AND YORK [モノ教材(切手)]

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 イングランドランカスター、ヨーク朝時代を紹介するシリーズ。左から、ウェールズのオワイン・グリン・ドウール(Owain Glyn Dwr)、百年戦争におけるアジンコート(アザンクール)の戦い、バラ戦争でエドワード4世がランカスター派を破ったテュークスベリーの戦い、そしてイングランドで初めて本格的な印刷工房を開いたウィリアム・キャクストンです。2008年2月18日のFDCで、消印は長弓をイメージしており、「The Battle of Agincourt HenryV 」と文字がはいった、なかなか洒落たデザインになっています。ebayで£4.75(総支払いは£6.75=決済日の為替レート1円 = 0.00681818 ポンドで990円)でした。バラ戦争のネーミングの由来となった赤バラと白バラが綺麗に描かれています。


 ①オワイン・グリン・ドウールについて
  ・ウェールズ日本人会 http://www.walesjapan.com/columns/yoshigacolumn/yoshiga3.html
  ・英BBC放送 http://www.bbc.co.uk/history/historic_figures/glyn_dwr_owain.shtml
 ②ウィリアム・キャクストンによる活字
  ・国立国会図書館 http://www.ndl.go.jp/incunabula/chapter2/chapter2_01.html  
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『ソルジャー・ブルー』(1970年、アメリカ、ラルフ・ネルソン監督) [歴史映画]

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  1864年11月29日にアメリカコロラド地方で起こったインディアン虐殺事件、「サンド・クリークの虐殺」を題材とした映画。私がこの映画のことを知ったのは姜信子さんが『安住しない私たちの文化』(晶文社)の中で触れておられたからですが、浜島書店の世界史資料集に紹介してあるので、ご存じの方も多いことでしょう。

 ジョン・ウェインが主演した『駅馬車』(ジョン・フォード監督、1939年)のように、「正義の白人騎兵隊 VS 野蛮な悪のインディアン」という西部劇のイメージを一変させた作品です。この映画は、1968年に起こったベトナム戦争でのソンミ村虐殺事件の婉曲的な批判であり、公開当時本国では上映自粛の動きがあったといいます。映画ラストの虐殺シーンは猟奇的とも言える、スプラッタームービー顔負けの残酷シーンの連続で、現在だとR指定確実。学校で見せるのは無理でしょう。私は映画のパンフレットを2冊買って、1冊は自分用、もう1冊は生徒の回覧用にしています。買った2冊のうち1冊には、前の持ち主の方がはさんでおいたのか、チケットの半券がはさまっていました。550円。残念ながら、日付・館名はなくなっています。「日本政府」と書いてあるのは、なぜでしょう。


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 これまで長らくDVD化されないままで、一時はレンタル落ちの中古VHSでも結構な値段がついていたのですが、 今年ようやく日本でもDVD化され、手軽に見ることができるようになりました。


【Movie Walker の映画紹介】 http://movie.walkerplus.com/mv5321/
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